「先生、最近急にデコルテが赤くなってきて……何か悪い病気でしょうか?」
60代前後になると、
前頸部から胸元にかけて毛細血管が目立ち、
赤みを帯びてくることを相談される患者さんが
多くいらっしゃいます。
初めて自分の体の変化に気づくと、
「さあ大変!」とびっくりして
病院へ駆け込んでしまうお気持ち、
よく分かります。
皮膚が「薄く」なるということ
実はこれ、
男女問わず更年期を過ぎ、
年齢を重ねることで起こる
**「皮膚の萎縮」**が原因です。
エストロゲンには、
肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンの合成を促す働きがあります。
閉経後の最初の5年間で、
皮膚のコラーゲンは約30%減少すると言われています。
皮膚が薄くペラペラになっていくことで、
下にある毛細血管が透けて見えるようになり、
赤みが目立ってくるのです。
さらに、高血圧のお薬を飲んでいる方は、
その血管拡張作用によって、
より赤みが強調されてしまうこともあります。
ドクターゆきの「処方箋」
私はそんな患者さんに、ニコニコしながらこうお伝えします。
「これは年齢による変化ですから、誰にでも起こることですよ。病気ではなく加齢現象。治す必要はないですし、もしどうしても治したければ、10歳若返るしかありませんね(笑)」
それでも不安そうにされている方には、こう付け加えます。
「誰がこれを気にしていますか? 周りの方が指摘して『治せ』と迫っていますか? おそらく、気にしているのはご自身ただ一人。胸元が赤くても大丈夫、誰も気にしていませんよ」
そのステロイド、ちょっと待って!
驚くことに、
この加齢による変化に対して、
長期間「ステロイド外用薬」を処方する医師がいます。
確かにステロイドを塗ると、
血管収縮作用によって一時的に赤みが引きます。
しかし、
塗り続けると「ステロイド耐性」ができ、
血管は収縮しなくなります。
それどころか、
ステロイドの副作用でさらに皮膚が薄くなり、
毛細血管が余計に目立ち、
内出血(ステロイド紫斑)を起こしやすい
「真っ赤でペラペラな肌」になってしまうのです。
一度薄くなった皮膚を元に戻すのは、至難の業です。
「カモ」にならないために
血管レーザーなどで
一時的に赤みを減らすことはできるかもしれません。
けれど、
皮膚が薄くなる自然の摂理を止めることは
誰にもできません。
年齢との戦いに多額のお金をかけ続けるのは、
あまりに切ないことです。
若さへの執着ほど、悲しいことはありません。
「この症状を私が治します」
と言って薬を出し続ける医者がいたら、
疑ってみてください。
加齢現象を逆手に取られて、
お金をかけさせる「カモ」にされてはいませんか?
目指すのは「年相応の強い肌」
ドクターゆきがおすすめするのは、
無理な若返りではなく
**「皮膚を強くすること」**です。
- 内側から: ビオチン、シナール、ビタミンB2・B6、(鉄欠乏の方には)鉄分、タンパク質(アミノバイタルやプロテイン)、(亜鉛不足の方に)亜鉛を補う。
- 外側から: 洗浄剤を使わないお湯だけ洗いで、保湿剤を塗らない。
特別な治療ではなく、
日々の積み重ねで「強い肌」を作っていく。
ただ、年相応の美しい肌を目指せば、
それで十分なのです。