塗り続けていたステロイド外用薬を急に止めたり、ステロイドを弱めたりすると、

湿疹が悪化し、さらに、塗っていなかったところにも湿疹が波及します。

そのまま、ステロイド外用薬を塗らずにいると、

湿疹は最大に悪化したのちに、徐々に軽減し、治まっていきます。

 

その期間は、3か月のこともあるし、3年のこともあるし、だらだら続くこともあり、予想は不可能です。

乳幼児の頃に塗っていたり、

ステロイド外用薬を塗っていた期間が長いほど、

ステロイド外用薬の強さが強いほど、

リバウンド現象は強く現れ、長期に続く傾向があります。

 

通常、皮膚科医は、このリバウンド現象を

「酒さ様皮膚炎」の治療時に、よく直面します。

「酒さ様皮膚炎」は、顔に塗ったステロイド外用薬により、ぶつぶつや赤い湿疹や膿疱が治まらなくなります。

 

原因のステロイド外用薬を中止することが、治療の第一選択なので、中止しますが、

その後、リバウンド現象による顔の湿疹の悪化が起こりますから、

それをうまく乗り越えられるように、サポートします。

 

しかし、残念ながら、「酒さ様皮膚炎」をうまく治療できる皮膚科医は、それほどいない、かもしれません。

 

 

~塗っていた「ステロイド外用薬」を中止すると、

「リバウンド現象」という湿疹の悪化が起こります。~

 

なぜなら、外部から与えられたステロイド外用薬によって、

皮膚のステロイドホルモン産生が抑制されており、

外部からのステロイドがこなくなると、皮膚におけるステロイドが枯渇状態となり、

炎症サイトカインが大量に放出されるからです。

 

赤ちゃんの湿疹にステロイド外用薬を塗ったのちに、塗るのを中断すると、

以前の湿疹よりさらに悪化した湿疹を生じた、という体験を

大勢の方がしていると思います。

 

しかし、このよく見られる現象を

アトピー標準治療ガイドラインの作成委員のある小児科医は、

「リバウンド現象はない!デマ情報だ!ということをよく患者さんに説明しなくてはなりません。」

と、昨年の「アレルギー学会」で言ってました~。あらら~・・・。

 

同様に皮膚科の教授でさえも、

「ステロイド外用薬の中断によるリバウンド現象というのはおこらない。

湿疹の悪化は、皮膚の下に炎症がくすぶっているからだ」とお話しているのをよく聞きます。

それが、学会の通説になっています。

そのため、くすぶっている皮膚の下の炎症が治まるまで、ステロイド外用薬を塗りつづけないといけないのだそうです。

 

では、「酒さ様皮膚炎」はどうするのか?

上記の論理では、「酒さ様皮膚炎」をステロイド外用薬の中止で治療するという発想になりづらいのではと思います。

 

そういう学会が、

大勢の若い医師に、「ステロイド外用薬の中断によるリバウンド現象というものは存在しない。皮膚の下のくすぶり炎症が治まるまで塗りづつけるように。」というように教育していますから、

皆、ステロイド外用薬を容易に止められない医師ばっかりになっています。

 

おそらく、

「酒さ様皮膚炎」をステロイド外用薬を中止して治療する方法を教育されるチャンスもなく、

皮膚科医をしている医師が多いのではと思います。

 

「酒さ様皮膚炎」でなくても、

赤ちゃんの湿疹をステロイド外用薬を中止して、リバウンドが起こったのち治まり、湿疹が全く消える現象を

私は何度も体験しております。

場合によっては、リバウンドを起こさずに湿疹が消失する赤ちゃんもいます。

 

肌が未熟な本当のアトピーの赤ちゃんでなければ、

保湿剤を中止し、ステロイド外用薬を中止し、洗浄剤を止めるだけで、

大勢の赤ちゃんの湿疹がよくなっていますね。

 

私は、そういうケースを「作られたアトピー」と呼んでいます。

アトピーは、皮膚科医や小児科医や親御さんの手により「作る」ことができちゃうのです。

 

 

ですから、「ステロイド外用薬にはリバウンド現象なんてないんだ」と言っている医師は、

ステロイド外用薬の本質を理解していないし、

そういう医師にステロイド外用薬を扱わせるとろくなことがない、と思うのです。

へたすると、薬漬けの人生にさせられちゃうよ、と思うのです。