先日、中年の女性が、ふくらはぎの皮膚が裂けたと言って、

受診されました。

 

ふくらはぎの皮膚が破けて、1円玉くらいのサイズの赤剥けができていました。

少し高いところから落ちてぶつけたそうです。

 

なんだか、皮膚が薄くぺらぺらで高齢者のような肌質だな、おかしいな、と思いながら、

テープでよせて、被覆材でおさえました。

 

よくお話を伺うと、

もう1年もの間、一番強いステロイドとワセリンのMIXを毎日塗るように、

大学病院で言われて、塗っているそうです。

 

もともとの皮膚の病気は治っているのですが、

その診断のために1年前に受けた、皮膚生検の痕が瘢痕になったからだそうです。

 

ところが、問題の瘢痕といわれるところは、

ステロイド外用薬の影響で皮膚が薄くなり、毛細血管が目立って、赤くなっているのでした。

 

「あれ? これは、ステロイドのせいでなっている赤みですよ」とお伝えしたら、

「ええ?! 傷あとが赤くなった、と言ったら、この薬を塗るように言われて、先日も同じ薬を沢山処方されましたよ。」

ということでした。

 

瘢痕の赤い色を薄くしようと、ステロイド外用薬を塗ることで、

副作用の皮膚委縮と毛細血管拡張で赤くなり、治らない悪循環になっていたのでした。

 

まずは、ステロイドを止めてみることですが、

さすがに、一番強いステロイドを1年間も塗っているので、

おそらく、リバウンド(皮膚炎の最悪化)がとても強いと予想され、とても恐ろしいです。

過去に、同様のケースがあり、一番強いステロイドをすぐ下のランクのものにしただけで、

全身に激しい湿疹がでて、患者さんがビックリして受診されなくなったことがあります。

 

しかし、やらなければなりません。

このまま強いステロイドを塗り続けると、

将来、皮膚がもっと薄くなって、内出血や傷ができやすくなり、痛い思いをするでしょう。

 

患者さんも、「やらなきゃ、元に戻らないのでしょ?やるしかないわよね」

ということで、塗っていた強いステロイド外用薬を中止し、

リバウンド時に塗れるように、ランクを下げたステロイド外用薬を出しました。

 

今後、どうなっていくか、ステロイドを止めたあとの反応は個人差があり予測できないのですが、

リバウンドの波がどの程度起こるか、それをどうやって乗り越えるか、が重要です。

なんとか、強いステロイド外用薬を中止して、

他の抗炎症剤に変更し、

たまに、弱いステロイドを塗る程度に持っていければよいのだけれど・・・・と考えています。