ある医療機関では、ステロイド忌避(ステロイド外用薬の使用を拒否している)のアトピーの患者さんを
入院させて、
保湿剤とステロイド外用薬をたっぷり塗る指導をし、
退院した先輩患者さんの「ステロイド外用薬を塗って肌がよくなってよかった」というお話を聞かせ、
1週間だけでも試してみようよ、と優しく諭し、
塗らせることで、湿疹が改善したのを見せ、
「ほら、塗るとこんなに皮膚がよくなって、気持ちがいいでしょう。
人生も明るくなるよ。」とお話します。
ステロイド依存の肌は、
ステロイド忌避の期間、外部からステロイド外用薬を塗られていないので、
ステロイド飢餓の状態ですから、
久しぶりに塗られたステロイド外用薬にすぐに反応し、
瞬く間に湿疹は改善します。
肌の神経と脳はつながっているので、
皮膚炎が治まると、なぜかすがすがしい思いがします。
・・・・これが、標準治療の皮膚科医療機関による、ステロイド忌避の脱洗脳です。
それを実践するのを使命としているある医師は、
「ただ、この方法は、1回目は効果的だけど、2回目、3回目だと効果が薄れるんですよね。
だから、1回目で、しっかりステロイド外用薬を塗って、皮膚炎を抑えることが大事。」
と言っていました。
あれ、その「2回目」以降は、どうするのでしょう?
アルコール依存の方は、はじめは、弱いアルコールでも酔えたのに、そのうち、どんどん強いアルコールでないと酔えなくなっていきます。アルコールに耐性をもちやすい遺伝子を持っていると、アルコール依存になりやすいです。
肌も同じように、ステロイド耐性を持ちやすい遺伝子の方がいて、どんどん強いステロイド外用薬でないと皮膚炎が治まらなくなります。
「外部から塗られたステロイド外用薬で炎症を抑える機序」をなんども皮膚にすりこむうちに、
肌に存在するリンパ球のステロイドホルモンレセプターが変化し、耐性を生じたり、
表皮細胞自体のコルチゾール産生能が低下するからです。
ステロイド耐性を生じやすい遺伝子の患者さんは、
たっぷりのステロイド外用薬で、はじめは調子良いでしょうけど、
そのうち、また、すぐに湿疹が治りづらくなっていきます。
治りづらくなっても、脱ステロイドは怖いと、副作用の皮膚を生じながら、ステロイドを塗り続けることになります。
そして、一部の方は、やっぱりステロイド外用薬は塗りたくない、と
中止して、リバウンドで皮膚炎が悪化し苦しい思いをします。
リバウンドの皮膚炎の大変な状態は、ステロイド派の医師からすると、本当にひどいことをやっている、と思うでしょう。
しかし、脱ステロイド医からすると、アトピーは自然治癒することが多いのに、ステロイド外用薬を塗らせたのがそもそもの問題だ、という思いがあります。
患者さんに、「ステロイド外用薬を塗っていれば、いつか皮膚炎のない生活ができるのだ」と誤解させるのはやめましょうよ。
ステロイド外用薬を塗っても、皮膚炎とさよならする日は来ないのだという現実を知ったときに、患者さんはステロイド忌避になるのです。
「ステロイド外用薬をうまく使えば、副作用なく皮膚炎をコントロールできる」なんて、夢物語なのです。
昔、「原発は安全安心で、環境にやさしいエネルギーです」と言っていたのと同じです。
どちらも、科学という名で、人をだます手口です。
ですから、乳児や幼児のお子さんを持つ親御さんは、そういうロマンを求めず、
実直に、肌本来の機能を発達させるべく、
ステロイド外用薬を使用せずに、肌を過剰に洗わず、栄養を与え、よく遊ばせ、自由に掻かせて、夜のかゆみは無視し、昼間によく遊ばせ、
お子さんの肌自身が、皮膚炎をゆっくり改善させるのを見守ることがよいです。