乳児のアトピーを脱ステロイドで治療するときの危険性は、

①ジュクジュクした湿疹からのタンパク質やミネラルの漏出のために、低タンパク質血症や電解質異常が起こり、脱水症をおこすことがある。脱水症により意識低下やけいれんが起こり、口からの水分や栄養の補給ができなくなると、命にかかわる。(栄養がとれているかは、順調な体重増加を確認することが大事。)

②湿疹には黄色ブドウ球菌が付着していることがほとんどだが、通常、患児の免疫力が菌の増殖を抑えている。しかし、栄養状態が悪い場合は、免疫力低下が起こり、ジュクジュクした湿疹が拡大し、患児の栄養状態をさらに悪くする。黄色ブドウ球菌が全身の皮膚に感染するとSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)を起こし、血行性に関節にいくと細菌性関節炎、さらに敗血症を起こす。

③脱ステロイド、脱保湿で湿疹を加療すると、数か月~数年かけてアトピーが良くなっていく。その間に、一定の食材を与えるのを制限すると、経口暴露による経口免疫寛容が阻害され、食物アレルギーを発症してしまう。

④低タンパク質やビタミン・ミネラル不足により、免疫力が低下すると、ウイルス感染症や細菌感染症を起こしやすくなり、さらに、食欲が低下し下痢になり、体重減少が起こり、①の現象が引き起こされる。

⑤RSウイルス感染症が喘息の原因と言われているが、低栄養による免疫低下があると、感染しやすくなり、喘息を発症させてしまう。

⑥患児の湿疹はゆっくり良くなっていくが、その間、湿疹に対し、周囲からの視線や言動に家族が心を痛めることがある。また、家族内で患児への治療方針が違う場合は、家族内での葛藤が生じ、苦労する。また、患児の湿疹を神経質に気に病む親自身が、ノイローゼなどの精神疾患を発症することがある。それらにより、家族内の平安が崩壊する。

⑦脱ステロイド・脱保湿の治療に理解のある医療機関が少ないため、皮膚とは別の疾患で小児科などを受診すると、「ステロイド外用薬を塗るように」という圧力をかけられる。そのため、他の疾患の相談のために、医療機関を受診しにくくなる。

・・・・など、今思いつく限りで、以上の問題が生じます。
脱ステロイド・脱保湿で治療していくためには、上記の問題をクリアしていく必要があります。

ドクターゆきは、過去に、上記の問題をクリアできず、苦い思いをした患児がおりますので、
以降は、上記について気を付けて指導しています。本当に真剣です。「真剣白刃取り」とまでは言えないかもしれませんが、そのような気持ちです。 上記の問題が生じそうになった場合に、それを早く察知して対処します。 ハッ! パチッ!です。

上記の問題の解決のためのほとんどが「栄養状態の改善」につきます。
特に「タンパク質」が足りなくなっちゃう。ジュクジュクした湿疹から漏出していくので、ミルクも通常の哺育量以上に与えないといけないのです。通常の粉ミルクの1.1倍濃いめ(1匙分多く入れて作る)に作って、赤ちゃんが、これ以上飲めない位まで飲ませる必要があります。お腹パンパンになって赤ちゃんが飲むのを嫌がるまで飲ませて大丈夫です。
母乳を与える場合は、3時間は間隔をあけてあたえてください。赤ちゃんが泣くからとちょくちょく与えても、栄養の少ない水分を与えることになってしまいます。
そして、離乳食は4か月からの早め(3か月で与えてもよいです)を開始し、生後6か月の時点で、すべての食材を食べれているようにします。卵は、生後4か月から、卵ボーロを崩したものからはじめて、加熱卵(白身も黄身も)の耳かき1杯くらいを毎日与え、少しづつ増量します。生後1歳時点で、卵半分は食べれているとよいです。


親御さんには、そこの理解を十分してもらわないといけない。
しかし、「育児本」を参考にしちゃう親御さんの場合、粉ミルクの量が足りないです。1日〇mlなんて参考にしてたら治せません。
さらに、「完全母乳がよい」という話に乗っちゃう親御さんの場合、赤ちゃんを①②③④⑤にさせる可能性が高く、危険です。ママの母乳の栄養は、ホルスタイン牛に勝ってますか?自信がありますか?
赤ちゃんの湿疹が良くならないのは、栄養不足があるからです。「完全母乳の実践」で脱ステロイドを失敗した症例がいっぱいあります。
生後1週間以降は、「混合」を選択してください。現在では、粉ミルクを飲んでいた子の方が、アレルギー疾患が少ないということが分かっています。
「離乳食本では6か月から離乳食と書いてありますから・・・」と離乳食の開始をせず、ぐずぐずしている親御さんに、早く始めるようにはっぱをかけます。その離乳食本は時代遅れです。


そして、大事なのは、ママの栄養状態です。出産後は、鉄欠乏性貧血が重症化していることが多く、それにより産後うつを発症させてしまいます。また、母乳で栄養が取られてしまうため、ママ自身への栄養が足らなくなっています。さらに、赤ちゃんの世話で睡眠不足と疲労がかさなり、脳の機能低下があります。
そんなママに、ドクターゆきが真剣に指導しても、ママの頭の回転が悪くなっているので、うまく伝わりません。
次の診察時に、前回お話したことを忘れているママが多いです。そして、「育児本には・・・」「離乳食本には・・・」というお話を繰り返すママ。そして、「義母や夫に、赤ちゃんをちゃんとした病院へ連れていけと言われるんです。」とメソメソ・・・。

赤ちゃんの湿疹を脱ステロイド・脱保湿で治すには、覚悟が必要です。
栄養不足では、へなちょこママになっちゃいます。
へなちょこママでは、赤ちゃんをステロイド外用薬から守れないし、安全に湿疹を治すことができないのです。
ママ自身が、しっかり肉や魚や卵などのたんぱく質をガッツリ食べて、その他のものも栄養バランスを考えて食べて、たくましい太っ腹ママになる必要があります。必要であれば、マルチビタミンやマルチミネラル、ホエイプロテインアイソレートなどを補給してもよいと思います。


栄養状態が良いママは、言われたことを実践できる行動力があり、他の人の言うことにも負けない強い精神力、赤ちゃんの変化に気づいて臨機応変に対応できる力を持ってます。そして、「赤ちゃんをステロイド外用薬を使わないで治すぞ。それには、脱保湿も大事だ。他の人に何を言われても、乗り越えるぞ。」という強い覚悟を持つことができます。
そういうママには、赤ちゃんの脱ステロイド&脱保湿のケアを安心して任せることができます。