幼児~小児、10代、20代、30代、40代、50代、・・・・100歳までのさまざまな世代の方々が、陰部の湿疹に悩んで来院されます。
男も女もです。

中には、陰部から臀部にかけてのごわごわした湿疹を搔いて傷だらけになっていらっしゃる重症の方もおります。
そして、伺うと、もう何年も皮膚科でステロイド外用薬を処方され、塗り続けています。

では、この湿疹は何故起こったのでしょうか?
女性は、生理用ナプキンでしょうか。
・・・でも、コットンナプキンなどの肌に優しいものにしても治りませんし、生理でない時もずっと湿疹が続きます。そして、ナプキンの当たらない、お尻っぺたにも湿疹が広がっている方もいます。

男性の陰部の湿疹は何故起こるのでしょうか?何か接触する刺激物があるのでしょうか。車やバイクに乗る方はこすれる刺激によるものでしょうか。
・・・しかし、車やバイクにも乗らず、衣類も柔らかい綿素材のものにして、柔軟剤の使用を止めても治りません。

共通していたのは、ほとんどの方で、ボディソープで洗っていました。
そして、なんと、ナイロンタオルで毎日ごしごし洗っていた方もいます。

陰部の皮膚はとても薄く、顔の皮膚よりももっと薄いのです。
顔をナイロンタオルでこすらないでしょう?
陰部をナイロンタオルで洗うなんて論外です。

実は、陰部も肛門も、石鹸やボディソープで洗うことは、一生する必要がないのです。
汗に含まれる乳酸は、抗菌作用と抗ウイルス作用があるため、大腸菌を死滅させることができますので、石鹸を使わずにお湯だけで洗った方が、清潔にしていられるのです。

ドクターゆきのクリニックを受診する患者さんには、そのようにお伝えし、陰部や臀部をお湯だけ洗いにしていただきます。
そうすると、過去にステロイド外用薬を使っていなかった方は、3か月ほどで、湿疹が改善していきます。
しかし、ステロイド外用薬を使用していた方は、なかなか湿疹が治まりません。
何年も、かなりひどい湿疹が続く方もいらっしゃいます。
なんでこんなに難治なのでしょうか。


ドクターゆきは、「乳児の頃におむつかぶれに使用したステロイド外用薬が原因」である可能性を強く疑っています。

3歳で脱ステロイドをしたアトピーの方でも、思春期以降になってから、アトピーの湿疹の重症化(遅発性リバウンド)がおこることがあります。ようするに、3歳まで塗っていたステロイドの影響は、何年たったあとでも、続くということです。

ですから、アトピーでなかった方でも、乳児の時期におむつかぶれに、安易にステロイド外用薬を処方する医師にかかると、その後数年~数十年以降に、陰部の難治性の湿疹(遅発性リバウンド)を発症する可能性は否定できないでしょう。

アトピーでなくても、難治な湿疹で悩んでいる患者さんは、それはそれは、とても大勢いらっしゃいます。
そして、「慢性湿疹ですね。湿疹ができやすい体質なのでしょう。ストレスが原因かな。」と言われて、ずっとステロイド外用薬を処方され続けています。
「ステロイド外用薬の依存症」という副作用に、ステロイド外用薬を処方し続ける、
これが、現代の皮膚科医療の日常です。