生後1ヶ月の赤ちゃんの肛門のジュクジュクが、ワセリン、サトウザルベ、亜鉛華単軟膏など次々と外用薬を変えて塗ってもずっと治らない、と困ったママが、ドクターゆきのクリニックにいらっしゃいました。
どれどれ、・・・
肛門全体に浅いびらん(皮むけ)があり、ちょっと痛そうです。
お話を聞くと、
石鹸は使わず、お湯だけで洗っているそうです。
そして、母乳だけをあげてるそうです。
ステロイド外用薬は塗ってません。
そして、カビの検査をしてもカンジダは見つかりませんでした。
さて、
ドクターゆきのブログの読者さんは、
原因はなんだか分かりましたか?
・・・これは、
亜鉛不足なんです。
亜鉛は、細胞が分裂増殖するときになくてはならない大事なミネラル。
亜鉛が不足すると、皮膚や粘膜の細胞を増やすことができなくなり、薄い皮膚や粘膜になり、肛門のバリア機能が低下してしまいます。緩い便が付着する度に、壊れて、びらん(皮むけ)がおこるのです。
母乳にはIgA免疫グロブリンが含まれるので、免疫力を与えるのに大事というのは理屈としてはそうかもしれません。
しかし、栄養不足の母乳では、その免疫グロブリンもカスカスなのでは?
その母乳って、牛乳に負けてない?
ママの栄養状態は、乳牛に負けてませんか?ってことです。
おそらく、
亜鉛以外にも、肌を強くするための他の栄養も不足してそうです。
たんぱく質・鉄・ビタミンCは、コラーゲンを作ります。足りないと肌のコラーゲンを作ることができません。
ビタミンBは、糖質や脂質をエネルギーに変えたり、皮膚や体の細胞の合成に関与します。
ビタミンDは、免疫力を上げます。さらに抑制系リンパ球を増やし、食物アレルギーの発症を抑制します。
ビタミンAは、IgA免疫グロブリンの分泌を増やし免疫力をあげます。
脂質は、細胞の膜の材料なので、良質な油(オリーブ油、亜麻仁油、青魚、MCTオイルなど)をとりたいですね。
ママに栄養が充足して、はじめて栄養豊富な良質な母乳がでます。
しかしですね。
日本女子の栄養状態は、残念ながら、レベル低いのですよ。
こんなに豊かな日本ですが、ミネラルやビタミン、たんぱく質などの栄養が足りないのです。
豊かな国なので、
防腐剤、乳化剤、合成色素、合成香料などの添加物たっぷりの食材が豊富。
農薬が含まれる野菜。
抗生剤が投与された家畜肉。
それらを食べることで、腸内細菌の量と種類が乏しくなっちゃった。
腸内細菌は、ビタミンやミネラル、たんぱく質を人間に与えてくれるのですが、
今の日本女子の腸内細菌叢は貧弱なのでそれが期待できないし、食材からとれる栄養も十分ではないのです。
しかも、食品化添加物としてよく使われるリン酸塩は、食品中のミネラルとくっついて、体に吸収させなくし、便として外に排出させちゃう。
日本で食事からミネラルやビタミンをとるためには、加工品やお惣菜コーナーのものやコンビニ食より、やっぱり手作りが一番なのです。
でも、赤ちゃんの育児中は、ママ自身の食事内容まで気が回らないのではないでしょうか。
ああ〜、核家族化社会の悲しさよ。
ママたちのワンオベ育児のしわ寄せは、ママと赤ちゃんの栄養不良にいってしまいます。
よかれと思って、母乳だけを与えていると、
赤ちゃんの栄養不良がおこり、皮膚や腸粘膜や気管支粘膜・鼻粘膜がしっかり作られないのです。
それにより、
アレルギー性鼻炎、
ウイルス感染症から喘息、
アトピー、食物アレルギーを発症させてしまうかもしれません。
この赤ちゃんは、
母乳のみの育児はやめて、
粉ミルクとの混合をすぐにはじめる必要があります。
そして、ママも栄養不足ですから、
たんぱく質を多く食べるようにしてもらいます。できたら、焼き鳥のレバーを週に2〜4本位は食べるようにお話しました。
レバーは、たんぱく質・亜鉛・鉄・ビタミンBなどの栄養がたっぷりなのです。
もちろん、栄養バランスを考えて、その他の食材も食べるようにお話しました。
赤ちゃんのお尻は、なるべく乾かすようにした方がよいので、びらんには白色ワセリンをなるべく少しだけ塗るようにしてもらいました。ベタベタ塗ると逆効果になります。
赤ちゃんもママも、栄養が充足して、オムツかぶれもよくなって、笑顔がみれたらいいなーと思います。