そうして私は、相変わらずパチンコに隠れて行き続けていた。


ある日の事、曜君から天気がいいから公園でご飯食べようと


言われ、お弁当を買って公園に行った。


すると、すぐ近くのベンチでおにぎり片手に新聞を読んでいる


人がいた。パチンコの常連仲間のおじさんである。


私は一瞬で血が引けて思わず立ちどまってしまった。


「どうしたの?」


曜君に言われると我に返り、


「なんでもないよ」


とすぐにまた歩き始めたが、私の心臓はバクバクと音をたてて


鼓動していた。もしここで話しかけてこられたら。パチンコの話


されたら。だからといってここでやっぱり別の所で食べようって


言うのも違和感がありすぎる。


そんな事を考えていると、


「イスあそこしか空いてないからそこにするか」


曜君が指差した先はおじさんが座るベンチの斜め前だった。


私は唾を飲み、


「うん」


そう答えると、ベンチに座った。


神様仏様、どうかおじさんがこっちを見ずに立ち去りますように


そう自己中心的な願いをし、お弁当を食べ始めた。


ここのお弁当はいつもおかずの味が濃いはずなのに、味なんて


全然感じなかった。今思うと曜君と何を話したかも覚えていない。


私のお弁当が中盤に差し掛かった時、ちらっとおじさんを見てみると


その顔は明らかに私を見ていた。


心臓に稲妻が走った私は急いで違う方向を見た。


もうだめだ。確実におじさんは気づいている。


私はそこから曜君との会話の反面どう言い訳するかを必死で


考えていた。


しかし、それからおじさんはおにぎりを食べ終わると、


私に話しかけてくることなく立ち去って行った。


いつもなら必ず話しかけてくるのに、なぜこの時に


話しかけなかったかはのちにおじさんと会うときに


知る事になる。おじさんが立ち去った後の私は心底ほっとし、


変にハイテンションだったため曜君から


「なんか今日のみらいちゃんよくしゃべるね」


と言われた事を覚えている。私には大切な人を失う可能性が


常にある事を改めて思い知らされた出来事であった。