種を蒔かなければ、
どんなに土壌が肥沃でも
何も生えてはこない。
逆にどんなに多くの種を蒔いても、
南極の氷の上に蒔いたのでは、
同じく何も生えてはこない。
禁煙とは前者であり、
タバコをやめることは後者にあたる。
種とはニコチンのこと。
肥沃な土壌とは、
ニコチン依存症という概念である。
ニコチン依存症という概念が知識としてあっても、
(肥沃な土壌があっても)
ニコチンを摂取しなければ、
(種を蒔かなければ)
喫煙習慣が始まってしまうことはない。
(何も生えてはこない)
どれだけタバコを吸っても、
(どんなに多くの種を蒔いても)
ニコチン依存症の概念が本当は無いことを知っていれば、
(蒔いたところが南極の氷の上であれば)
喫煙習慣が始まることも、
再発することもない。
(何かが生えることはない)
禁煙とは、ニコチンという種を蒔かないようにしていることだが、土壌が肥沃であるかぎり、タバコを吸ってしまえば、喫煙習慣は復活するのである。
それを禁煙に失敗したという。
本当にタバコをやめたということは、
ニコチン依存症という、医者と、製薬会社と、タバコ産業が協力して、メディアまで駆使して育て上げた土壌を、不毛の砂漠や氷土に変えてしまうことである。
タバコをやめて得られるものは、
権威やメディアを一刀両断にする気もち良さと、二度と喫煙者に戻らない明らかな自覚。
禁煙により得られるものは、吸ってはならない時間と、喫煙者に戻る可能性である。