お客様からブレーキが効かなくなる時があるとのことで入庫です。
ブレーキオイルの量、制動力の数値、ライニングの残量・隙間は異常無し。
一応ブレーキオイルのエアー抜きをするもやはり変わらず。
次に1時間半くらい試運転実施。45分くらいは何も異常なくブレーキが効きます。このまま症状がでないかなと思って引き返した時、信号待ちでブレーキを踏むと「すーーー」と止まらなくなり、焦ってもう少し深くペダルを踏むと「ガツンッ」とブレーキが効きました。
強く踏むと効くのか時間差で効くのかは分からないが、一回症状が出てからは工場につくまでの間に十数回その症状が出てとても気が抜けなかったです。
正直原因の特定はできなかったけど、ABS系の症状ではなさそうだったので、エアーブレーキ系統の故障と推測しブレーキバルブかエアーブースターの交換を考えました。
エアーブースターは車輪別に三つついていますが、価格、作業時間、確実性を考えると優先すべきはブレーキバルブ交換の方かなと判断しました。そしてその内容をお客様に説明し、承諾を得て作業にうつります。
①タンクからエアーを抜く
②エアーチューブ、カプラを外す
合計4ヶ所ずつあります。分からなくならないようにマスキングを貼ります。
③ブレーキバルブのネジをはずす
どのネジをはずせばいいのか分かりにくいですが、この4本をはずせばはずれます。
ネジがとても錆びていましたが幸いはずせました。
④ブレーキバルブを取り出す
多少向きを工夫しながら取り出します。
取り出したものはこちら
⑤ブレーキバルブの回りの部品をはずす
ブレーキランプスイッチ、エアープレッシャーセンサー、コネクタをはずします。
すると…
エアープレッシャーセンサーとそこのコネクタの内部がサビサビで穴が塞がりそうでした。
これでエアーの通りが悪くなりブレーキがきかなくなっていた可能性もあるので、ここの部品も交換します。
⑥新しいブレーキバルブに部品をつけていく
エアープレッシャーセンサーは今回新しいものをつけるのですが、カプラーの形がこれまでのとは違うものになってしまうので変換ハーネスも注文しました。
おそらく、三菱ふそうを作業した時も同じ部品だったのでこれは汎用品のセンサーで古いカプラーと違うものなのでしょう。なので変換ハーネスはセットと考えた方がよさそうです。
⑦運転席にブレーキバルブを取り付ける
運転席の足元からブレーキバルブを入れ、ネジ4本で取り付けます。
⑧エアーチューブ、カプラーをつけていく
キャビンをあげ、カプラーには変換ハーネスを挟み元通りに組付けていきます。
⑨エア漏れの確認
エンジンをかけ、エアーチューブのエアー漏れの確認をします。
⑩試運転
試運転して症状の確認をします。
すると…
症状は出ませんでした。
最初と同じルートを別の日に二回走行しましたがブレーキが効かなくなることはありませんでした。
あとから先輩に聞くとビックサムで同じような症状でブレーキバルブを交換して直った事例が数件あったそうです。もしかしたらビックサムではよくある事例なのかもしれません。
良かったら参考にしてください。
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