<短信 軍学共同反対> 日本学術会議2012年回答「高レベル放射性廃棄物の処理について」の現在 | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

皆さま
日本学術会議を解体的に再編する動きが進んでいますが、市民の反対の声はなかなか
広がりません。学術会議の存在が市民社会にどうかかわるのか、見えにくいからでは
ないでしょうか。
今、焦眉の課題の一つが、高レベル放射性廃棄物の問題です。ご存知のように政府は
地層処分を進めるために、手を上げた自治体に巨費をばらまいています。
そんな進め方はおかしいと多くの人が思っています。
この問題について、学術会議が原子力委員会からの諮問を受けて2012年に画期的な回
答を出していることをご存知でしょうか。


https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf


学術会議には原子力発電推進の学者もいます。そういう人も含め、学術会議の委員会
で真摯な議論を重ね、全員一致で回答を出しました。
そこでは高レベル廃棄物という未来の人々への負の遺産を私たちが作りだしてしまっ
たという自覚の下で、まず総量管理【原発で出る廃棄物の上限を決める、すなわち将
来のある時点で原発ゼロとする】し、性急な地下処分ではなく、当面地上に暫定保管
し、十分な検討ののち、最終処分することを提言しています。
これは原子力委員会からの諮問に対する公的な回答ですから、国は真摯に受け止める
義務がありますが、ほとんど無視し、地層処分地の選定を強引に進めています。
そういう中で2012年の回答は古くなるどころか、今も重要な意味を持っています。
この回答作成にかかわった長谷川公一東北大学名誉教授が7月5日に「核ごみをどうす
るか ―原点に立ちかえって考える」と題した講演をされました。(放射線被ばくを
学習する会と富山大学科学コミュニケーション研究室主催によるオンライン講演
会)。


長谷川氏は、科学に基づく「公論形成」の必要性を訴えています。話の中で、この回
答を作成した時の議論も紹介されています。
続いて赤井純治新潟大学名誉教授も「世界最大級の変動帯の日本に、地層処分の適地
はない」とコメントし、その中で上記学術会議回答を評価しています。
学習会の動画をぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=wHC5O4NTW3E
長谷川さんと赤井さんのスライド資料も下記からダウンロードできます
<http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/files/20240705hasegawa.pdf>
<http://anti-hibaku.cocolog-nifty.com/blog/files/20240705akaics.pdf
ぜひ原発に関心のある市民の方々にも紹介していただき、この提言の意義とともに、
政府に対しても意見が出せる学術会議の重要性を考えていただければと思います。

なお7月13日 午後11:00からNHKEテレで、3月に放映された「膨張と忘却~理の人が見
た原子力政策~」の再放送があります。科学技術史が専門の吉岡斉氏は90年代から
国の審議会の委員を務め、原子力政策決定を見てきました。「熟議」や「利害を超え
て議論を尽くすこと」を求め続けた吉岡氏の願いとはかけ離れた政治の現状が明らか
にされています。学術をこのように貶める政治を許してはならないと改めて思いま
す。見ていない方はぜひご覧ください。
小寺隆幸
 

 

https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-k159-1.pdf