日米原子力協定(来夏)満期に伴いNGO、議員等訪米中  | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

ND 新外交イニシアティブ

https://www.facebook.com/NewDiplomacyInitiative/posts/1490652814305488

<転載>

 

【訪米活動2017 9/11 報告】
新外交イニシアティブ(ND)、原子力資料情報室(CNIC)、超党派議員等によって構成された訪米団が、この9月10日よりワシントンを訪問し、日米原子力協定の満期(2018年7月)を1年後に控えたこの時期に、使用済み核燃料の再処理によるプルトニウム蓄積の問題などについての意識喚起のために訪米活動を行いました。

メンバーは、新外交イニシアティブ(ND)から猿田佐世(事務局長・弁護士)、久保木太一(研究員・弁護士)、原子力資料情報室(CNIC)から松久保肇(事務局長)、ケイト・ストロネル(スタッフ)、その他、超党派の国会議員や三上元氏(元湖西市長)、山田清彦氏(核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団・事務局長)、アイリーン・美緒子・スミス氏(グリーン・アクション)等です。

9月11日(10日は移動日のため、この日が活動初日)は、訪米団が2チームに分かれ、国務省高官との面談、議会関係者(下院議員の補佐官2箇所、上院議員の補佐官6箇所)との面談8件、ブルッキングス研究所におけるシンクタンク研究者とのラウンドテーブル1件、計9件の日程をこなし、その後、現地の日本人記者との懇談会を行いました。
下記、現地からの報告をご覧ください。ぜひ訪米活動にご注目いただき、ご支援をお願いいたします。

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使用済み核燃料の再処理によって、現在日本には約47トンものプルトニウムが蓄積されています。プルトニウムは軍事用に転用できるものであり、このプルトニウム量は原子爆弾約6000発に相当するものです。高速増殖炉(もんじゅ)が技術的に運用困難で、MOX燃料を装着可能な原子炉での十分な利用が政治的、経済的合理性の観点から困難であることが明らかになった現在では、プルトニウムに平和目的での使い道はありません。にもかかわらず、現在日本政府は来年を目処に六ヶ所村再処理工場を稼動しようとしており、これが実現すれば年間約8トンものプルトニウムがさらに増え続けることになります。

日本が使途目的のないプルトニウムを蓄積し続けることは、北東アジアの核不拡散を脅かすものであると同時に、プルトニウムがテロリスト等の手に渡る可能性を生じさせるものでもあります。今回の訪米は、日本の再処理をフリーハンドで認めている日米原子力協定が2018年7月で30年の満期を迎えることを契機に、米国政府・議員・専門家に日本の実情について知ってもらい、日米間で日本の再処理政策について議論をすべきであることを訴え、その具体的な方策を探ることを目的としています。

初日の11日、朝早くにホテルを出た訪米団は2グループに分かれ、上院下院議員の補佐官との面談を行いました。この問題を専門としている補佐官もいればそうでない補佐官もいましたが、核不拡散という米国にとって大切な価値を扱っていること、昨今大きな問題となっている北朝鮮やテロリストに対する脅威からか、補佐官のこの問題に対する関心は一様に高かったといえます。訪米団が事前に配布しておいたペーパーに隅から隅まで目を通し、細かくマーカーを引いていたある補佐官は、「原子爆弾6000発相当だとアメリカの保有する核兵器の3倍じゃないか。この事実を知っている議員は米国にほとんどいないと思う」と驚いた上で「なぜ日本はこのような状況で再処理工場を動かそうとしているのか?」という率直な質問を訪米団に投げかけました。

「アメリカの議会で議論すべきだ」といった意見は異口同音に聞かれ、「具体的に日米原子力協定のどの条項を修正すべきなのか」といった深いところまで突っ込んだ質問をした補佐官もいれば、近日中に委員会に話を持ちかけたいと発言した補佐官もいました。今回の訪米を米国での関心度合いを変えるきっかけとできるのではないかという期待感を強く持てました。

なお、米議会で何かアクションが起こされるためには、各議員や各委員会付きの補佐官がこの問題に精通することが極めて重要です。実際の政策については各テーマの専門家である補佐官が詰めていき法案化等していくため、補佐官の存在は日本の国会議員の政策秘書よりもさらに重要な印象です。

シンクタンクの王者であるブルッキングス研究所における研究者とのラウンドテーブルでは、訪米団からの日本の置かれた状況(余剰プルトニウム量の将来予測、国民の支持がないために原発が動かせないこと等)を報告したのち、複数の研究者から多くの質問が出ました。設定されていた1時間半はあっと言う間に過ぎ、まだまだ話し足りないといったムードの中、ある研究員から、余剰プルトニウム処分について課題を抱えているのは日本だけではなく諸外国でも同じであり、余剰プルトニウムについて諸外国で知恵を出し合う場が必要であるという旨の発言によって面談が締めくくられました。

国務省にて行われたこの問題担当の国務省高官との面談では、予定時間を超過して深いやりとりをすることができました。正式な米政府の立場についてはもちろんのこと、その裏に存在する悩みも感じることができました。米政府の考えについての感触を持てることは、物事の全体を理解するために非常に重要です。残念ながらオフレコの面談であり、面談内容を明らかにすることはできませんが、大きな収穫となりました。

夕食を兼ねた日本人現地記者との懇談会では、訪米団が現地記者に対して訪米団の目的や日中の面談の成果を報告しました。この問題に対する米国側の反応の良さに対して最初は半信半疑であった記者たちも、訪米団のメンバーの話を聞くにつれこの問題の重要性を理解してくれたようです。

5日間の活動の初日でしたが、訪米前の予想を超えた手応えがあり、早速充実した訪米となっています。明日以降、皆様にどのような報告ができるのかが今から楽しみです。

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ND「日米原子力エネルギープロジェクト」では、米国の原発の現状、原発をめぐる日米の協力関係の歴史や日米利害関係者について等々、日本で文献調査およびインタビュー調査を進め、2015年6月にはワシントンとボストンで調査を行いました。訪米後も米国専門家を招いたシンポジウムの開催、原子力推進派へのインタビューなどを行い、2016年10月、成果をまとめたものとして『アメリカは日本の原子力政策をどうみているか』(岩波ブックレット)を出版しました。このブックレットは、おかげさまでAmazonの原子力・放射線分野で数ヶ月にわたり1位を獲得するなど好評を博しております。また、2017年9月5日に新曜社から発売された『[決定版]原発の教科書』(編:津田大介・小嶋裕一)にも「日米原子力エネルギープロジェクト」による寄稿があります。

『アメリカは日本の原子力政策をどうみているか』
 https://goo.gl/G7DTYo
『[決定版]原発の教科書』
http://www.shin-yo-sha.co.jp/mokuro…/…/978-4-7885-1536-9.htm

多くの皆様のご協力をいただきながらも、訪米行動を行えることはNDの強みだと自負しています。もっとも、このような活動を継続して行っていくのは本当に容易ではありません。常に経済的に厳しい状況が続いています。ぜひ、みなさまに資金面でのサポートをいただきたく心からお願い申し上げます。

皆さまにおかれましては、ご入会、ご寄付によるご支援により、この取り組みを支えていただければ大変幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

【クレジット決済によるご入会・ご寄付】
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 郵便振替口座 口座番号 00190-3-633335
 口座名義 新外交イニシアティブ

【他行からのご送金】
 ゆうちょ銀行 〇一九店 (019) 当座 0633335
 口座名義 新外交イニシアティブ

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■【東京新聞「こちら特報部」 9/19】
今回の、再処理・プルトニウム問題を伝えるための訪米行動についての記事が、本日付の東京新聞「こちら特報部」に掲載されました。ぜひご一読ください。

(転載;新外交イニシティブFB

 

 

 

 

 

 

※参照過去記事 

https://ameblo.jp/datsugenpatsu1208/entry-12309324236.html

再処理・プルトニウム問題を伝える訪米活動へのご支援のお願い (CNIC)