http://www.asahi.com/articles/ASGDS4HCLGDSULBJ00D.html
2014年12月24日
厚生労働省の部会は24日、ミツバチの大量死の原因と指摘されているネオニコチノイド系の農薬「クロチアニジン」について、食品中の残留基準を緩和する案を了承した。化学メーカーからの適用拡大の申請を受け、内閣府の食品安全委員会の評価を踏まえ設定した。ただ、欧州連合(EU)の基準値より緩く、環境保護団体が反発している。
クロチアニジンは日本ではコメや大豆の害虫対策に使われている。今後、国民への意見募集などの手続きをへて、新基準が正式に決まれば、今まで使えなかったホウレンソウなど、より多くの農作物に使えるようになる。
基準案は、作物ごとの農薬の残留試験結果などを元に設定。カブ類の葉とホウレンソウはEUの20倍の40ppm、コメは1・0ppm(EUは0・5ppm)などとした。厚労省は「欧米とは農薬の使い方や害虫への影響が異なるため、今回の値になった」としている。
基準案は「人の健康に問題ない」としたもので、生態系への影響を考慮していない。環境団体グリーンピース・ジャパンは「今回の緩和によってミツバチの生態に大きな影響を与える」と懸念する。農林水産省は、農薬の散布の際には、農家と養蜂家が連絡を取り合い、巣箱退避などの対策を取るよう、都道府県を通じて指導している。(田内康介)