【川内原発をめぐる政府交渉報告】仰天事実続々(行動する「葦」のつぶやきブログ) | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

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<転載;途中に画像あります、詳細は↑をご覧ください>

2014年10月26日
【川内原発をめぐる政府交渉報告】逃げられない要援護者に190mSvの被ばくを強いる「閉じ込め」ほか、仰天事実続々

10月24日に川内原発をめぐる政府交渉が開催されました。前半1時間半は避難計画をめぐり、内閣府および原子力規制庁とやりとりしました。
やりとりを通じて、9月12日に内閣府原子力防災会議が「了承」した避難計画がいかに実態がないことがあきらかになってきました。
そればかりか、災害対策基本法に引っかかる可能性も生じています(詳しくは美浜の会の島田さんが報告します)。

1.要援護者の施設の避難計画…内閣府の「方針」を満たしていない。
頼り綱の「コンピュータ・システム」は、「まだできていない」。
どんなものなのか、「確認はしていない」。

現在、川内原発では、10キロ圏外の要援護者の避難先は確保されず、避難の指示が出てから「避難先候補施設リストが入力された」コンピュータシステムで避難先を選定するとしています。
しかし、これは、内閣府「共通課題についての対応指針」(平成25年10月)の以下の規定に違反しています。

「医療機関・社会福祉施設等による避難準備重点区域(注:30km圏)内にある、病院等の医療機関や社会福祉施設等(以下、「入所施設」という。)は、入院患者・入所者の避難に関する計画をあらかじめ作成する。この計画においては、入院患者・入所者の受入れに足る十分な避難先施設をあらかじめ決めておく…」

「コンピュータ・システム」なるものの内容がどんなものなのか、実際に確認したのか、という問いに対して、内閣府の担当官は、「コンピュータ・システムが出来上がるのは今月末ということになっており、まだどんなものだかは実際には確認していない」と回答しています。

2.原発から最短1.6kmの「一時退避所」。
規制委のシミュレーションでも2日間で最大190ミリシーベルトの被ばく量

在宅の要援護者で、避難することによって健康リスクを抱える人は、近隣に設置された「屋内退避所」に屋内退避することになっています。
内閣府の担当官は、「あくまで数日レベルの"一時退避"であり、そのあともっとよい場所に避難する」と発言しましたが、いつまでの避難を想定しており、そのあとどのように救出するか、具体的なことは何一つあげられませんでした。

これらの屋内退避所のうち、原発から最短距離の旧滄浪(そうろう)小学校は、原発から1.6kmの地点にあります。

ここは津波ハザードマップ上、危険地域である上に、平成26年5月28日の原子力規制委員会「緊急時の被ばく線量及び防護措置の効果の試算について」によれば、屋内退避した場合でも、2日間最大190ミリシーベルトの被ばくを強いらるのです。

2日間で最大190ミリシーベルトの被ばく

なお、このシミュレーションの前提は、セシウム137の放出量は100テラベクレル(福島原発事故における東電が評価したセシウム137放出量の100分の1)という、甘いものです。

★薩摩川内市の「一時避難場所」は、津波危険区域にあり、法律違反の恐れがあります。これについては、後程報告します。

3.要援護者の団体等に「確認したかどうかはわからない」

このような屋内退避の方針や、10km以遠の施設は、いざ事故が起こってから、「コンピュータ・システム」で避難先をみつけることなどについて、障がい者団体や病院・福祉施設責任者等の意見をきいたのか、という質問に対して、内閣府は、「それは県が確認すべきもの。県が確認したかどうかについてはわからない」
と回答しました。

4.スクリーニング・除染の場所~避難先に設置
…具体的な場所はまだ決まっていない
…受け入れ先自治体とは相談せず

9月12日の原子力防災会議の資料では、「スクリーニング・除染の場所は、「原則として避難先となる市町に一ヵ所ずつ設置する救護所等で実施」するとなっています。
これについて、具体的な場所を教えてくれという質問に対して、おどろくべきことに内閣府は、「まだ決まっていない」と発言。
そして「原発から30キロ近傍で行うというのが国の方針だったのでは」と追及すると、「そこは自治体の実情によって決める」と回答。「この方針は自治体に協議したのか」ときくと、事前にワーキングチームで協議したと回答しましが、
「その場に、受け入れ自治体が参加していなかった」ことを認めざるをえませんでした。

5.SPEEDIは使わない?

原子力規制委員会は10月8日に、SPEEDIを避難判断に使わない方針を決めました。事故時の放射能放出量や気象予測の不確かさを排除することは不可能だとして「SPEEDI による計算結果に基づいて防護措置の判断を行うことは被ばくのリスクを高めかねないとの判断による」とまで述べています。
市民側は「福島原発事故ではSPEEDIの情報が隠されてしまった。いわば、使っている"人"の問題であり、SPEEDIの問題ではない。これを使わないことは、福島原発事故の教訓を踏みにじり、被ばくを避ける避難を放棄するものであり問題」と述べました。
規制庁は、「モニタリングで対応する」としましたが、市民や国会議員側は、「モニタリングで対応しきれない実態があった。また、モニタリングで対応するにしても、それに加えてSPEEDIを使わないという理由にはならない」と主張し、SPEEDIを使うことを要請しました。

政府側対応者:
内閣府政策統括官(原子力防災担当)付参事官(地域防災)付推進官 喜多 充
原子力規制委員会原子力規制庁長官官房監視情報課 係長 門倉真士

政府交渉主催団体:
反原発・かごしまネット/避難計画を考える緊急署名の会(いちき串木野市)/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/グリーン・アクション/グリーンピース・ジャパン/福島老朽原発を考える会/FoE Japan/原子力規制を監視する市民の会

賛同議員:(敬称略、22名)
相原久美子(民主・参)、阿部知子(無所属・衆)、糸数慶子(無所属・参)、生方幸夫(民主・衆)、笠井亮(共産・衆)、神本みえ子(民主・参)、柿沢未途(維新・衆)、川田龍平(維新・参)、倉林明子(共産・参)、近藤昭一(民主・衆)、杉本和巳(みんな・衆)、田城郁(民主・参)、玉城デニー(生活・衆)、田村智子(共産・参)、辻元清美(民主・衆)、照屋寛徳(社民・衆)、仁比聡平(共産・参)、福島みずほ(社民・参)、真山勇一(維新・参)、山口和之(みんな・参)、吉川元(社民・衆)、吉田忠智(社民・参)