原発安全指針類の見直しについての意見書;脱原発弁護団全国連絡会 | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

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脱原発法制定全国ネットワークの呼びかけ団体の一つ、脱原発弁護団全国連絡会より、原発安全指針類の見直しについての意見書が公表されました。

明日25日の院内集会で公表との予定でしたが、現在の指針の見直しの動きへの危機感からできるだけ早く公表すべきではないかということになりました。

明日の院内集会では脱原発弁護団全国連絡会の青木秀樹弁護士より、問題点も含めて、解説していただきます。



意見書を添付します。

2013-01-23_原発安全指針類の見直しについて (pdfファイルが開きます)

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※以上文字情報転載:以下は最初の2ページのコピーです。PDFは全部で12ページ。

原子力発電所の安全指針類の見直しについての意見書
2013 年 1 月 23 日
原子力規制委員会 委員長 田 中 俊 一 殿
内閣総理大臣 安 倍 晋 三 殿
環境大臣 石 原 伸 晃 殿
脱原発弁護団全国連絡会 共同代表 弁護士 河 合 弘 之
同 弁護士 海 渡 雄 一
弁護団員 弁護士 青 木 秀 樹
(連絡先) 事務局長 弁護士 只 野 靖
〒160-0022 東京都新宿区新宿 1-15-9
さわだビル 5 階 東京共同法律事務所
電話 03-3341-3133 FAX 03-3355-0445

福島原発事故は安全審査指針が不十分であり,かつ,安全審査も不十分であったために起
きたものである。
原子力規制委員会は,現在,福島原発事故を踏まえて,各種安全指針類及び技術基準を見直
しており,2013 年 7 月をめどに取りまとめることとされている。
脱原発弁護団全国連絡会は,国内の原発の運転差止・設置許可取消訴訟等を担う弁護団・弁
護士の全国連絡組織であり,原発の再稼働を阻止し,すべての原発を廃炉にすることを求めて
いる。我々が主張しているとおり,すべての原発が再稼働せず廃炉になるのであれば,以下に
述べるような安全審査指針類の改訂も,もはや無用のものとなる。
しかしながら,現実には,原子力規制委員会によって,安全審査指針類の改訂は急ピッチで
進められており,再稼働に向けた手続きが粛々と進められている。かかる現状はまことに拙速
というほかなく,また,その内容も極めて不十分である。
そこで,本意見書では,かかる現状を踏まえて,福島原発事故のような事故は二度と繰り
返してはならないという観点から,指針類改訂において考慮されなければならない視点につ
いての意見を述べるものである。

意 見 の 趣 旨

1 指針見直しのスケジュール及び大飯3,4号機の停止について
2013 年 7 月までの指針改定を自己目的化してはならない。福島原発事故の事故原因を究
明し,必要な改訂をすべて行い,改訂安全指針類によるバックフィットを厳格に行うとい
う基本方針を確立することが第一である。拙速な指針改定のタイムスケジュールを白紙に
戻すべきである。
現在稼働中の大飯3,4号機は,安全性が確認されていないため,当然,他の原発と同様
に停止させておくべきである。

2 立地審査指針について
(1)万が一の事故が起きても周辺に放射線被害を及ぼさない立地条件を厳格に適用できる指
針に改訂すべきである。
(2)要求される非居住区域,低人口地帯の範囲を,現実に発生した福島原発事故を踏まえて
広域なものに見直すべきである。

3 安全評価指針について
自然現象を原因とする事故であれば,多数の機器に同時に影響を及ぼすのであるから,
異常状態に対処するための機器の一つだけが機能しないという仮定は非現実的であり,一
つの安全機能にかかる全ての機器がその機能を失うことを仮定して安全評価がなされるよ
う,安全評価指針を見直すべきである。

4 安全設計審査指針について
単一故障指針は,機器の多重性又は多様性及び独立性により安全が確保されるという考
え方と表裏をなすものである。しかし,機器の多重性又は多様性及び独立性があったとこ
ろで,特に自然現象のもとでは,全てが同時に故障することはあり得るのであって(共通原
因故障),その場合には安全性が確保できない。この自明のことに目をつぶった指針は誤り
である。安全設計審査指針は,福島原発事故での地震・津波被害のように,同時故障を想
定した上で安全性を確認するべきである。

5 耐震設計審査指針について
2011 年 3 月 11 日の東北地方太平洋沖地震をふまえ,過去の歴史地震にとらわれることな
く,これまでの地震・津波に関する知見に基づき,可能な限り安全側に立って,耐震設計
審査指針を根本から見直すべきである。すなわち,活断層については,活動時期を過去 40
万年前以降とする,調査範囲を原子炉敷地から半径 30 kmからさらに延長する,活断層が完
全否定されないかぎり活断層とみなす,想定すべき地震と津波のレベルについて,震源域内
のパラメータを可能な限り厳しくした想定をするなど,耐震設計審査指針を根本から見直
すべきである。
さらに,そのようにして想定した地震・津波を超える地震・津波が発生することがあり
得るのであるから,さらに安全側に立った地震・津波を想定する指針を策定すべきである。

6 重要度分類指針について
地震時の共通原因故障発生を踏まえ,重要度分類指針を見直し,とりわけ外部電源の信頼
性を向上させ,重要度分類クラスI,耐震性能Sクラスにすべきであり,また非常用電源系
統だけでなく,重大事故時の対応上に必要な構築物,系統及び機器全体を重要度分類クラス
I,耐震性能Sクラスに格上げすべきである。

7 シビアアクシデント(過酷事故)対策について
(1) 必要なシビアアクシデント(過酷事故)対策は全て要求する指針を制定し,そのシビア
アクシデント(過酷事故)対策がなされていない原発は再稼働させてはならない。
(2) 安全確保のための安全指針として第一に重要なのは,「放射性物質の環境への多量
の放出を確実に防止する」という 3 層までの安全規制である。シビアアクシデント(過酷
事故)対策を法規制化することは望ましいが,シビアアクシデント(過酷事故)対策を十
分に行えば,確実に安全が確保される訳ではない。
従って,設計基準事故の対象を拡大して安全指針を強化しなければならず,設計基準
事故をそのままにして,シビアアクシデント(過酷事故)対策で危険性が回避できるなど
と考えることは誤りである。

8 原子力災害対策指針について
福島原発事故の教訓を踏まえた上で,原子力災害対策重点区域,想定事故,包括的判断
基準を検討し直すべきである。そして,各原子炉についての緊急時対応計画を原子炉立地
審査指針によって審査し,不十分であると判断されるものについては原子炉停止等必要な
措置を命じるべきである。