『未来への舟――草木虫魚のいのり』おおえまさのり | 脱原発の日のブログ

脱原発の日のブログ

12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

この度「いちえんそう」 から 『未来への舟――草木虫魚のいのり』を出版しました。
いのちの祭り参加企画でもあります。
若い世代にメッセージを届けたいと、カバーを外した表紙は感動ものになっています。
ぜひご一読くださり、若い世代に勧めていただければと思います。

未来への舟
おおえまさのり
いちえんそう 2012-9-9刊
定価:1680円
Amazon 他、大手書店などでお求めいただけます。
直接のお求めは 郵便振替 いちえんそう 00130-7-79316  で、定価1680円(送料無料)をご送付ください。折り返しお送りいたします。

3・11後を生きる――わたしたちは今、文明の転換点に立たされている。この地球という美しい星を破壊することができたのは、自然のそこにスピリット (霊性)を見る心を自ら奪い去ってしまったからだ。未来の世代へ贈るスピリッツの夢を秘めた種子がここにある。

目次:
はじめに――
第一部 草木虫魚のいのり
① わたしを尋ねる
② 夢時間への旅
③ 神を解き開く
④ 思考の彼岸
⑤ 草木虫魚のいのり――ニライカナイへの賛歌
第二部 未来への舟
⑥ 花粉の中心を歩く――自然そのもののカミに支えられた新しい社会の夢――
あとがき――琉球弧賛歌――


ブックレビュー(『街から』10月発行号より)

本書は、技術過信と功利主義の果てに、原発事故という破局に至ってしまった世界に向けて書かれている。制度をいくらいじくり回しても、新しい時代を見出す道は見つかりそうにない。問題の所在は、もっと深く、そして素朴なところにあるからだ。
「原発崩壊が示唆する文明の破局の果てに、わたしたち人類は今、自然そのもののカミという〈価値として〉もっとも最後に残ってくるところの価値を必要としている。」
近代国家の諸制度の成立、機械論的世界観の成立、そして経済グローバリズムにいたるまで、西欧の歴史は、倒錯したキリスト教の神の歴史と見ることができる。
〈わたしたちは、客観という魔法にとりつかれている〉と言われ、自然の背後にカミや仏性を見出すという抽象作用ではなく、自然そのものをカミと見るところに、最後に残ってくるところの価値を見出す。
「わたしたちの世界を再びよみがえらせるためには、自然そのもののカミ(草木虫魚のいのり)の下に、わたしたちのいのちの物語を描き出してゆかなければならない」という。
星々が生まれ、そこから生命が生まれ、多様な花々の開花や揚羽蝶や孔雀蝶、鬼ヤンマや秋茜の蜻蛉、そしてそれらを見てきたわれわれの体験も、また宇宙の夢見の中にあると感じる。そして太古からの風を感じ取るのも、常に「いま」なのだという。
著者は、いたるところに「わたし」をみている。
「羊水の海に浮かぶわたし、卵のわたし、魚のわたし、両生類のわたし、爬虫類のわたしそして原始哺乳類のわたし・・・」
世界は歪な発展を遂げてしまった。それをただすには、おそらくこうした主観的な感受性の成長なしには、どんなに制度をいじくっても、未来は生まれてこないだろう。そこには「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない。自我の意識は個人から集団社会宇宙と次第に進化する」という宮沢賢治の精神と通底するものを感じる。

久松重光



_____