CBD市民ネットが原子力政策に緊急提言〜いのちを尊重する社会へ〜賛同募集中 | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

【大切なご案内】賛同募集:原子力政策に関する緊急提言 ~いのちを尊重する社会へ~

2011年4月25日

生命を尊重し、生物多様性を大切にする社会の実現に向け、CBD市民ネットの有志が日本政府の原子力政策に関する緊急提言を作成しました。
以下にその文面を紹介しますので是非ご一読ください。
この内容については、4月26日13時30分に開催予定の院内集会において正式に発表されます。
院内集会の詳細についてはこちら をご覧ください。

現在この声明文にご賛同いただける方々を募集しています。
ご賛同くださる方は、署名フォーム よりご連絡ください(ご登録いただく内容は下記です)。
1)賛同者の氏名
2)所属団体  *団体でのご登録の場合ご担当者のお名前
3)連絡先メールアドレス
25日24時の段階で集まった賛同者については、4月26日に予定されている院内集会において発表させていただく予定です。(賛同者は4月末まで受け付ける予定です)

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原子力政策に関する緊急提言

3月11日、東日本大震災は福島第一原子力発電所事故を引き起こした。放射性物質が大気、土壌、地下水、海洋へ広範囲に拡散する予断を許さない状況が震災後一か月以上たった今も続いており、その完全な収束にはこの先何十年にも渡る長い年月を要すると言われている。

豊かな農業を育んできた大地にも、海産物を授けてくれる世界に誇る豊穣の海にも、未だに放射性物質が流出され続けている。誰よりも土を愛してきた有 機農家の方が絶望のうちに自殺に追い込まれたことは記憶に新しい。原発事故は、持続可能な農漁業を目指してきた人々、それを支えてきた東北や関東地方を中 心とした地域共同体や地域の文化、そして長年にわたり生物多様性の保全活動をしてきた人々のこれまでの苦労を蹂躙しようとしている。放射能の被害を受ける のは人間ばかりではなく、地球環境そのもの、すなわち長い歳月をかけて培われた生物多様性そのものである。

原子力発電はCO2排出量の少ない、経済効果の高い安心安全なクリーンエネルギーと位置づけられ、経済発展に貢献する技術として国家により推進され てきた。一方的ともいえる情報発信方策は原子力の危険性を問う議論を封じ込め、その結果私たちは今もなお、自分たちの暮らしを守るために必要な情報すら十 分に提供されない状況にある。事故以降の対応に対してはすでに国際的にも「これは天災ではなく人災である」という認識が高まっている。これには政府や東京 電力の姿勢に大きな要因があるが、同時に結果としてそれを許してきた経済界、有識者、マスメディア、消費者、そして私たち日本国民に責任がある。

4月4日の東京電力による「低濃度」汚染水約15,000トンの放出は、故意による海洋汚染である。濃度が1,000mSvを超える高濃度汚染水も おそらくは継続的に垂れ流された。このことが世界の共有資源である海とそこに住む多様な生命体に与える影響は計り知れない。海洋汚染に関する国際条約ロン ドン条約にも違反するこの行為により、日本は、地震・津波という天災の被災国でありながら、同時に環境汚染の加害国にも転じてしまった。

2010年10月名古屋で開催された生物多様性条約第十回締約国会議(COP10)において、日本は議長国として、生物多様性の保全、回復の目標を 定めた「愛知ターゲット」を採択に導いた。国家間の利害を調整し、市民社会との連携により発揮されたそのリーダーシップは、国際社会からも高い評価を受け た。

しかし、里地・里山に代表される「いのちの共生」を世界に提唱する一方で、COP10開催期間中に原子力発電所の建設のために、生物多様性の観点か らも高い価値を持つ山口県上関の海の埋め立て工事が開始された。このことは国内のみならず世界のNGOからも驚きと落胆を持って受け止められた。地域に暮 らす人々の土地への愛着や大切に継承されてきた生活と豊かな生態系が、効率性を求める経済の原理により壊されようとする実態に対し日本の市民社会からは批 判の声があがり、海外NGOは日本政府の一貫性のない姿勢を「大いなる矛盾」と評した。そして、その懸念はCOP10の本会議において、国内外のNGOが 連携して作成した声明文において明確に指摘された。今回の原発災害を引き起こしてしまった根本原因を直視し、日本の生物多様性政策が内包する「大いなる矛 盾」を根本から解消する決意を示さなければ、COP10の成果は雲散霧消するだろう。

いのちの共生・生物多様性を中心に置いた政策がどれほど強く求められているかを最も強く認識しているのは、私たち日本の環境NGOである。私たちは政府が市民社会の提言を真摯に受け止めることを強く求めると共に、以下のことを提案する。

① 東京電力ならびに日本国政府は、失敗を糊塗するのではなくすべての情報を公開し、原発事故の収束のために世界の専門家の助力を求め、国際緊急対策チームを作って対策にあたること。

② 国家エネルギー戦略や復興計画において、生物多様性国家戦略を十分配慮すると共に、将来世代への影響やリスク管理、予防(慎重)原則の概念を十分考慮すること。

③ 生物多様性を中心においた国家戦略の立案とその実施のため、モニタリングも含めた各ステージにおいて、市民セクターを含む多様な主体の参画を確保し、その意見を尊重すること。この戦略にはエネルギー政策の他、国家復興計画も含まれる。

④ 農漁業に直結する問題として、今回の事故の生物多様性への影響を調査する対策チームをNGO・市民、科学者の協力のもとに結成し、第一次産業による自然界の生物資源の恵みを受けられる経済再建の道筋を示すこと。

⑤ 妊娠中や授乳期の女性や子どもたち、高齢者や虚弱体質者など、放射能による健康の被害を受けやすい人たちに対する十分な配慮を行った上で今後の対策並びに 現存するすべての原子力発電所の危機管理体制を将来的な閉鎖も視野に入れて見直し、的確な情報配信を行うこと。

⑥ 再生可能エネルギーを中心としたエネルギー政策や地域資源を活用した自立した持続可能な地域社会づくりの推進のために国家が資源を費やすこと。

⑦ 身体的影響への配慮はもちろんのこと、精神的な影響についても十分に配慮すること。数値の正しさや論理性のみを重視した対応では、被害の拡大を食い止められない。

⑧ 原子力政策に関するこれまでの歪んだ情報発信の在り方を反省し、生命とその多様性を国家の経済政策の中心に捉え、生物多様性条約の定めるCEPA(コミュ ニケーション・教育・普及啓発:Communication, Education, Public Awareness)の視点を重視すること。

生物多様性条約は地球に生きるいのちの条約とも呼ばれている。国民の生命を守るのは国家の重大な役割である。自然への感謝と畏敬の念を忘れては、いのちを守る政治は実現し得ない。

2011年4月26日。人類史上最悪の大惨事といわれるチェルノブイリ原子力発電事故から25年が経過した現在も、放射性物質による被害の拡大は収束していない。そしてその悲劇はここ日本においても繰り返されようとしている。

科学的技術への過信とその暴力的な利用が、生命の営みに計り知れない傷を負わせてしまった。しかし私たちには知恵がある。歴史から学び、新しい未来 を創っていくことができるはずだ。将来世代にこれ以上の負の遺産を残すことは終わりにして、自然との共生といのちを尊ぶ社会と経済の実現のために、今こそ 立ち上がろうではないか。

最後に東日本大震災で尊いいのちを奪われたすべての方々の冥福を心から祈念したい。これ以上大切な人を失う悲しみ、故郷を奪われる苦しみを広げない ために、生きとし生けるすべてのいのちのために、現実から目をそむけず、なすべきことをやり遂げる真の強さを自分たちに課すことを私たちはここに誓う。そ して「大いなる矛盾」が放置されてきた日本社会を変革する構想力を持ち、立場の違う多くの人々の共感を得て前に進むことが、未来へつながる希望の道である ことを確信し、ここに宣言する。

2011年4月24日

発案者:生物多様性条約市民ネットワーク有志
坂田昌子 虔十の会 生物多様性条約市民ネットワーク(CBD市民ネット)地域作業部会副代表
今井麻希子 CBD市民ネット事務局

賛同者:(順不同)
浜口真理子 CSOピースシード CBD市民ネット運営委員
吉田正人 CBD市民ネット共同代表
村瀬俊幸 EARTH WORKS SOCIETY/中部ESD拠点推進会議 CBD市民ネット事務局
服部徹 CBD市民ネット運営委員
大沼淳一 CBD市民ネット運営委員
高山進 CBD市民ネット共同代表
武者小路公秀 中部ESD推進会議 CBD市民ネット顧問
羽後静子 CBD市民ネット運営委員
倉澤七生 イルカ&クジラ・アクション・ネットワーク CBD市民ネット運営委員
伊藤昌尚 日本湿地ネットワーク CBD市民ネット運営委員
駒宮博男 CBD市民ネット運営委員
花輪伸一 WWF ジャパン CBD市民ネット運営委員
道家哲平 CBD市民ネット運営委員
原野好正 CBD市民ネット運営委員
草刈秀紀 WWFジャパン CBD市民ネット運営委員
古南幸弘 CBD市民ネット運営委員
柏木実 CBD市民ネット運営委員
(2011年4月25日24時現在:CBD市民ネット運営委員を中心に)

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院内集会の模様が観れます。http://bit.ly/j1LjeW