<水道水の放射能汚染の測定値>抗議と結果報告;元技術者氏家さん(2) | 脱原発の日のブログ

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12月8日は1995年、もんじゅが事故を起こして止まった日。この時、核燃料サイクルと全ての原発を白紙から見直すべきだった。そんな想いでつながる市民の情報共有ブログです。内部被ばくを最低限に抑え原発のない未来をつくろう。(脱原発の日実行委員会 Since 2010年10月)

(前ページ1より続く)
東京都水道局のHPより転載

水道水の放射能測定値の公表については、これまで速報性を重視してきまし
たが、放射能濃度が低い状態が続いていること及びお客さまからより詳細な
データを知りたいとの要望が多数寄せられたことを受け、4月15日からは速
報性を損なわない範囲で測定時間を延長(従来の約1.5倍)して、より低い濃
度まで測定することとしました。
 これに伴い、これまで一律に「不検出≦20Bq/kg」と表記してきた方式を、
「検出限界値」を用いた新たな方式に変更しました。

 最新の測定結果(4 17 日採水) 単位:Bq/kg
 これまでの測定結果
(1)金町浄水場単位:Bq/kg 放射性ヨウ素   放射性セシウム
              (ヨウ素131)   (セシウム134
               不検出      不検出
              (検出限界値5) (検出限界値5

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同じような趣旨の電話による問い合わせを、415日に神奈川県企業庁県営水道にも行った。

その結果、神奈川県企業庁県営水道や神奈川県内広域水道事業団の各浄水場のサンプルは、毎日横須賀市水道局へ運ばれ、NaIシンチレーション検出器によって 分析されている。
検出限界は9Bq/kgで、この値以下は不検出と発表している。

私の家では谷ヶ原浄水場の水を飲んでいるのだが、これまで谷ヶ原浄水場の水道水の測定値の発表は全て不検出と公表されてきた。下流にある寒川浄水場の水で は、3日間に渡って67.810.3Bq/kgのヨウ素131の検出が発表されていた。

この県営水道の発表を見た私は、家の水道水は幸運にも放射能汚染を受けていないので、安心して飲めると判断したいた。しかし、電話によって事実を確認した 今となっては微量ではあるが汚染された水を飲みつづけていた可能性が非常に 高く、騙された気分でいる。

この騙された気分は、事実を知った消費者の多くが感じることではないだろうか。

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最後に、神奈川県衛生研究所への電話内容から気になった点を述べる。
対応に出た企画部(?)の中村氏によると、

・茅ヶ崎市にある衛生研究所の蛇口の水を毎日2万秒かけて、ゲルマニウム半導体検出器で測定している。
・検出限界は0.5Bq/kg

この中村氏の電話の態度は、自分は専門家、あなたは素人、という喋り方を一貫して行うので、対話をしていて非常に不快だった。
私は元技術者で放射性物質の測定こそしたことはないが、各種分析機器を日常的に使いこなしてきた経験がある。そのことを伝えても、中村氏の話し方は変らなかった。

実は323日にも神奈川県衛生研究所へ電話し、私は中村氏に「浄水器によって放射性物質は除去できるか」と質問した経緯がある。
このとき中村氏は「粒子が細かく、イオン化しているので、浄水器では除去できない」と断言した。私はかなり食い下がって質問したが、素人の質問にうんざりした様子を隠そうとせず、除去できないを繰り返した。

ところが、逆浸透膜純水器メーカーである寺岡精工が、飯館市の役場の汚染された水道水を純水器にかけたところ、元の水が600Bq/kgのヨウ素131であったが、逆浸透膜純水器で浄水すると測定限界以下となったことを、分析結果の証明書とともにホームページで公表している。
http://www.teraokaseiko.com/news/topics/11_3_30/index.html

このことを414日に中村氏に対して指摘したが、
「データを確認していないので判断できないが、私は浄水器では放射性物質は除去できないと思っている」
と、中村氏は態度を改めなかった。

「非科学的なのは中村氏のほうであり、あなたは私に嘘をついたことになる。あなたの傲慢な喋り方とともに、嘘をついたことを反省すべきだ。」
と抗議して、電話を終わった。

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私は、水源連や桂川・相模川流域協議会、相模川キャンプインシンポジウムといった、河川問題のNGOで活動しているので、今回は水道水について個人的に電話での問い合わせと要請を行いました。

その後、東京都水道局では発表の仕方が改善されました。
(神奈川県営水道はいまだに改善をしていません。)

内部被曝をもたらすのは、飲料水だけではなく、様々な農産品、水産品があります。
これら全てに私が個人的に問い合わせ・要請を行うのは限界があります。

どこか、しかるべきNGOやグループが、各都道府県の担当課や機関へ何度も電話をかけなければ、事態は改善しないと思います。
また、全国の放射能汚染のデータをまとめている文部科学省と交渉し、より効果的な各地での食品の放射能汚染の測定と、その発表方法へ、文部科学省の発表を改善してもらうことも効果的だと思います。

神奈川県に対しては、野菜の放射性物質の測定について、すでに地図上に面的な広がりをもつ形で、放射性物質の検出量が示されているデータ、同じ地点における経時変化が把握できるデータの分かりやすい公表を電話で申し入れましたが、対応に出た女性は真摯な態度ではなく、『貴重なご意見』として受け流していました。責任ある担当者と粘り強く交渉しなければ、野菜や魚でで2000Bq/kg以下のレベルの内部被曝を受けつづけることになります。

消費者が、自分の食べる食品の値を知った上で、自分で判断することができなければ、不安な食生活をこの先ずっと続けることになります。

長い報告になってしまいましたが、以上です。

氏家

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追記
2011
419

私が注目している海外からの情報を以下に転載します。URLのみの記載だと、情報元が削除される可能性もあり、情報を1つにまとめておきたいので、長くなりますがご容赦ください。


日本における放射線リスク最小化のための提言
http://icbuw-hiroshima.org/wp-content/uploads/2011/04/322838a309529f3382702b3a6c5441a31.pdf
より
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 以下転載その1 ***********************

ドイツ放射線防護協会  www.strahlentelex.de
 2011 3 20

日本における放射線リスク最小化のための提言

 ドイツ放射線防護協会と情報サービス放射線テレックスは、福島原発事故の発生後の日本に おいて、放射線核種[いわゆる放射性物質:訳者注]を含む食物の摂取による被ばくの危険性 を最小限に抑えるため、チェルノブイリ原発事故の経験をもとに下記の考察・算定を行い、以
下の提言を行う。

1.放射性ヨウ素が現在多く検出されているため、日本国内に居住する者は当面、 汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、薬草・山菜類の摂取は断念すること
が推奨される。

2.評価の根拠に不確実性があるため、乳児、子ども、青少年に対しては、1kg あたり4 ベクレル〔以下 Bq:訳者注〕以上のセシウム137 を含む飲食物を与え
ないよう推奨されるべきである。成人は、1kg あたり8Bq 以上のセシウム137
含む飲食物を摂取しないことが推奨される。

3.日本での飲食物の管理および測定結果の公開のためには、市民団体および基
金は、独立した放射線測定所を設けることが有益である。ヨーロッパでは、日本
におけるそのようなイニシアチブをどのように支援できるか、検討すべきであろ
う。

考察と算定

 以下の算定は、現行のドイツ放射線防護令の規定に基づいている。
飲食物を通じた放射性物質の摂取は、原子力災害後、長期間にわたり、身体にもっとも深刻
な影響を与え続ける経路となる。日本では、ほうれん草1kg あたり54,000Bq のヨウ素131 が検
出されたが、こうしたほうれん草を100g0.1 ㎏)摂取しただけで、甲状腺の器官線量は次の
とおりとなる(*1)

乳児(1 歳未満):甲状腺線量20 ミリシーベルト〔以下 mSv:訳者注〕(*2)
幼児(1~2 歳未満):甲状腺線量19.4mSv(*3)
子ども(2~7 歳未満):甲状腺線量11.3mSv(*4)
子ども(7~12 歳未満):甲状腺線量5.4mSv(*5)
青少年(12~17 歳未満):甲状腺線量3.7mSv(*6)
大人(17 歳以上):甲状腺線量2.3mSv(*7)

 2001 年のドイツ放射線防護令第47 条によれば、原子力発電所通常稼働時の甲状腺器官線量
の限界値は年間0.9mSV であるが、上に述べたような日本のほうれん草をわずか100g 摂取する
だけで、すでに何倍もこの限界値を超えることになる。原発事故の場合には、同第49 条によれ
ば、甲状腺線量は150mSv まで許容されるが、これはいわゆる実効線量7.5mSv に相当する(*8)

 それゆえ日本国内居住者は、当面、汚染の可能性のある*サラダ菜、葉物野菜、
薬草・山菜類の摂取を断念することが推奨される。

 ヨウ素131 の半減期は8.06 日である。したがって、福島原発の燃焼と放射性物質の環境への
放出が止まった後も、ヨウ素131 が当初の量の1%以下にまで低減するにはあと7半減期、つ
まり2 ヶ月弱かかることになる。54,000Bq のヨウ素131 は、2 ヵ月弱後なお約422Bq 残存して
おり、およそ16 半減期、つまり4.3 ヶ月(129 日)後に,ようやく1Bq 以下にまで低減する。

長期間残存する放射性核種

 長期的に特に注意を要するのは、セシウム134(半減期2.06 年)、セシウム 137(半減期30.2 年)、ストロンチウム90(半減期28.9 年)、プルトニウム239(半減期2 4,400年)
といった、長期間残存する放射性物質である。
 通常、2 年間の燃焼期間の後、長期間残存する放射性物質の燃料棒内の割合は、 
セシウム
137:セシウム134:ストロンチウム90:プルトニウ239
100:25:75:0.5
である。

  (次ページに続く)

http://scr.bi/eOG4fX に全文掲載されています。