↓前半はこれ↓

 

 

ランキング形式や、厳選をする事に価値を感じなくなりました。好きなものの順番というのは、あまり意味を持たないと思うからです。これは「好き」という言葉があまりに広い意味を持つからだと考えています。ここからは、自分の好きな作品を紹介しようと思います。

 

 

【カミュ】

カミュ(1913-1960)の『異邦人』。
アルベール・カミュはフランス領であったアルジェリアで生まれた作家です。

あらすじ

『異邦人』の主人公ムルソーが母親の参列に参加する場面から物語は始まります。母親の知人たちが涙する中、ムルソーは無感動で平然としていました。ムルソーは、喪中で会社を休みになった3日間で海水浴に行くことにしました。そこで昔のパートナーと出会い、(恐らくは)性行為をし、映画館にデートに行きます。ムルソーは非常識な、非情な人間であるかのように描かれます。しかし彼の中では確固たる意志があり、彼なりの因果関係もきちんとあるようです。このギャップが作品の魅力です。
その後ムルソーは喧嘩に巻き込まれ、その結果殺人をしてしまいます。殺人の動機について、ムルソーは「それは太陽がまぶしかったからだ」と答えます。投獄された後も、彼の異常と取れる行動は続きます。「不条理文学」と言われるカミュを代表する一作。

感想

ムルソーの異常行動と、それをするに至った彼なりの理論が面白いです。一見すると理論がつながっておらず、ちぐはぐで、ただの逆張り人間のように感じられるかもしれません。しかしそうではないのです。まず、ムルソーは逆を張っているというよりも、完全に理解のできない行動をとってきます。理解のできない論理と思考を持っています。その上で、それを当たり前のように正しいと思い、当たり前のように実行しているのです。私たちのように。
 
一般的に、社会・日常生活では当たり前のように皆が同じ常識を持ち、「理性」を持ち、「思考」を持ち、何か「目的」をもって行動していると考えられがちです。私は、そういったものは信じていません。と、言うと何かヤバい思想を持ったいわゆる「思想の強い人」(※「強い」というよりも「偏った」という表現の方が適切であると常々思っていますが)のようですが、そうじゃないんです。思考や意思に関しては、やっぱりいつかまとめたいですね。
 
ここで言いたかったのは、私たちも誰かにしてみればムルソーのような、因果のつながらないような判断をしている可能性がある、ということです。自分が合理的だと思っている事も、誰かは不合理(あるいは完全に不条理)だと思っているかもしれませんし、逆に誰かの不合理(不条理)も、その人にとっては非常に合理的な、理路整然としたことなのかもしれません。
 
もしかすると私たちは、文字や音声などの「ことば」では表せないような理論(または感覚・直感)で行動しているのかもしれません。だから、行動の理由は「ことば」によって説明はできないですし、そもそも行動に理由は無いかもしれません。理由とは「ことば」なわけですから。夜になったら寝るように、太陽がまぶしかったら殺人をするのかもしれません。
 
この作品は、今までどこか一種のファンタジーに過ぎないと捉えていた「不条理文学」というジャンルが、より実際的でリアルなものなのかもしれないと感じさせてくれたものでした。ムルソーの飄々とした雰囲気を、美しいと感じたのは私だけでしょうか。最もシビれた場面は、独房に入れられたムルソーが床に置かれた金属製のバケツを眺める所です。確かこんな感じでした。
 
バケツには男がひとり写っていて、こちらを真っ直ぐに見ていた。
私はその男に微笑みかけたが、男は笑わなかった。
 
バケツに写った自分に微笑みかけたのに、実はムルソーは笑っていなかった、という事が分かる部分だと解釈しています。この場面は物語の後半の方だったのですが、これによってそれまでのムルソーの「〇〇した」という表現が実際どうであったのかと想像して、鳥肌が立ちました。主観と客観、自己と他者、普段意識される自分と、鏡の中の自分。そうしたものがごちゃごちゃになって、物語に新しい次元を与えたようです。ここは非常に印象に残りました。
 
私は『異邦人』を、大学生になる時に新潮文庫の窪田啓作 訳をブックオフで買って読みました。実を言うと、その時は大学の新しい友人にカフカが面白いと紹介されていて、読もうと思い間違えて買ってしまったんですが(笑)。ですが間違えてよかったなと、今では思っています。
 

【太宰治】

太宰治(1909-1948)の『人間失格』。あらすじは省きます。

感想

最近の言い回しをするなら、「太宰治からしか取れない栄養素がある」と言いたいです。何が好いのか、と言われると難しいのですが、太宰治はなんか好い、と思ってしまいます。キャラクターが好きなんですかね。それか文体か。適度に共感できる部分と、引き込まれる部分と。あとはリアリティと美しさでしょうか。伝えるのが難しいですが、私は太宰治の作品が好きです。ハズレを見たことは今のところないです。
 

【ゴーゴリ】

ゴーゴリ(1809-1852)の『鼻』『外套』『死せる魂』。
ニコライ・ゴーゴリはロシア帝国(地理的には現在のウクライナ)の作家。
 
彼の短編『鼻』『外套』はどちらも奇天烈な話です。まず『鼻』に関しては、朝食を食べている時に誰かの鼻がパンから出て来て、逃げる鼻を追いかけるというものです。意味が分かりませんね(笑)。研究すれば意味があるんでしょうか、私の知識では何も分かりません。でも、面白いです。『外套』は一応ホラーなんですかね。怪談話のような物だと思います。非常に貧しそうな雰囲気が好きです。
 
そして長編『死せる魂』。Copilotにあらすじを書かせます。

あらすじ

 主人公:チチコフは中年の旅人で、農奴制の制度的抜け穴を利用する計画を立てる。彼は戸籍上は生存しているが実際には死んでいる農奴の名義を地主から買い取り、その名義を担保に融資を受けて財を成そうとする。

 チチコフは各地の個性的で堕落した地主たち(マニーロフ、コローボチカ、ノズドリョフ、ソバケーヴィチなど)と交渉を重ね、彼らの醜態や人間性の欠如が露呈する。これにより物語は風刺的な人物画の連続となる。

 最終的に噂や敵対により計画は頓挫し、チチコフは逃亡や逮捕の危機に直面する。第2部ではさらに展開するはずだったが、ゴーゴリは晩年に多くの原稿を焼却し、作品は未完に終わる。

 

概ね合っています。ただ、チチコフの目論見が判明するのは物語の一番最後の部分です。色々な解説を見てみると、「堕落した人間が~」や「社会風刺」などのキーワードが出てきたのですが、私はそれには気付けませんでした。私が面白いと感じたのは、もっと単純に、死んでいる農奴を買わせてくれ、という有り得ない交渉を持ち掛ける男と、何の損もないのに訝しんでそれを断る地主のやり取りです。まるでコントや落語を見ているようで面白かったです。

感想

ゴーゴリの小説も、太宰のように何かは分からないけど惹かれる所がありあます。私は少し古めの全集を、高校生の時に図書室で借りて読んだので、誰の翻訳だったのかはよく分かりません。
 

【ドストエフスキー】

ドストエフスキー(1821-1881)の『罪と罰』。
またもや出てきました、ドストエフスキー。『罪と罰』なんてタイトル、かっこいいですよね。椎名林檎の歌にもなっていますね。椎名林檎さんもドストエフスキーが好きだと、どこかで読んだ気がします。本当かは知りませんが。バチクソ長いので、あらすじはもうええです。そういえば、中田敦彦がYouTubeで解説していましたね。それが分かりやすいので、良いかもしれません。十分面白いと思います(上から失礼します)。それはそれとして、自分で読むともっと広く深い読み方ができる作品なので、ぜひそうする事をお勧めします。

感想

『罪と罰』は、とにかく主人公が魅力的だと思いました。ラスコーリニコフ君。貧乏大学生。自分を天才だと思っています。実際計画性は高く、狡猾な男です。しかし非常に神経質で、メランコリーな一面もあります。自分のプランや思想に絶対的な自信を持ちつつも、それを実行する勇気に乏しく、「思想」(殺人は許される)と「良心」(殺人は駄目だ)の間で葛藤します。私は、私こそがラスコーリニコフだ!!!と思ったのを覚えています。理由は忘れましたが(笑)。影響を受けやすいんでしょうね、多分。カミュの『異邦人』や村上春樹を読んだ後にも、かなり変な口調になったぐらいですから。
 
 

【あとがき】

最近あまりブログ書いてませんでした。毎日書くのを一人で目標にしていたんですが、中々難しいものですね。毎日続けるのは。これからは大学も始まって、徐々に更新頻度が落ちるかなーとか思っています。まあ、気が向いたときはいっぱい書きます。書くのは意外と嫌いではないみたいなので。
 
それよりも、重大なのは、ここ最近好い本に出会えていないことです。半年くらい。何なら『カラマーゾフの兄弟』に心酔しすぎてしまったせいか、それ以降は本があまり楽しめなくなってきた気がするんです。十冊読んだら5冊はボロクソに言って、3冊はまあまあ読めるレベルとか言って、2冊だけ好かったかな、とか言うような、そんな読書生活になっている気がします。ドハマりするような本が減って来たんですね。
現代の日本の本に手を出してみようと思い、人気作家の本をブックオフでいくつか買ってみたものの、あまり楽しめないんです。
 
『美味しんぼ』の海原雄山のような頑固気質みたいで、本当に嫌なんですが、感性が固まってきてしまったという事なんでしょうか。嫌な読者ですねえ。
 
「老兵を見たら生き残りだと思え」という言葉がありますが、古典作品はある程度よいことが保証されていますよね。ある程度。現代の作品となると、大変そうだなと思います。人気作品から選ぶという事になるんでしょうか。私には少しハードルが高いかもしれません。やはりもう少し、古典の世界にこもっていようかな。。