子供たちに将来の精神を教えこむことについて | 真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するブログ

真の国益を実現するため、外交・国防・憲法・経済・歴史観など
あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

森友学園問題については、主に次の2点の真相究明がなされておらず、今でも国会では委員会質疑において、大阪府議会においては百条委員会設置の再提案等、追及が続いています。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170512-00000081-asahi-pol

一つは、小学校建設用地となった国有地の売却価格の低さと契約に関する不透明さです。
一つは、大阪府の小学校認可に関する審査基準を逸脱した「認可適当」との判断についてです。

で、最近では、教育勅語の暗唱等の右翼的と言うべきか、復古的と言うべきか、森友学園の教育方針に関しては、一部の識者を除き、論評の俎上に乗らなくなってきたように思います。

筆者自身は、教育勅語をどちらかというと肯定的に捉えてきました。そして、戦後のいわゆる自虐史観なり、戦前の制度等を全否定してかかる教育のあり様に対しては、憤りを感じていたこともあったので、森友学園の教育方針自体を批判することは避けてきました。(無論、安倍晋三を称えることなぞ論外ですが)
また、拙ブログに目を通される方々の中にも、森友学園の教育方針については、肯定的に捉える方もおられるかと思います。



ハンナ・アレント『責任と判断』(ちくま学芸文庫)P365から。米国で1957年に起こったリトルロック高校事件(※)に対する彼女の論評から抜粋しました。

(※)リトルロック高校事件(はてなキーワードより転載)
「公教育の場における人種分離教育は違憲」の米最高裁の判決を受け、アーカンソー州リトルロック高校での黒人受け入れを市教育委員会は決定する。
が、受け入れ初日に一部の白人は黒人生徒の排斥運動を開始。時の州知事も州兵をさしむけてリトルロック高校に黒人生徒が入れないようにした。
その状況を受け、アイゼンハワー大統領はリトルロック高校に空挺部隊を派遣。黒人生徒9人が安全に高校生活ができるよう武器で警護し続けた。
子供たちに将来の精神を教えこむことによって世界を変えることができるというアイデアは、古代からずっと政治的なユートピアの顕著な特徴の一つだった。このアイデアの難点はつねに同じだった。子供たちを両親から分離して、国の制度のもとで育てるか、学校で洗脳して両親に背を向けさせるかのどちらかでなければ、成功の見込みがないのである。専制政治のもとではこれが実現されうる。ところがこうした方法を採用した公共当局に、その漠然とした望みと期待のもたらす帰結をひきうける用意がない場合には、こうした教育実験の全体は、うまくいっても何ら成果をもたらすことはないし、悪くいったときには両親も子供も、基本的権利を剥奪されたと感じて、苛立ち、敵対するようになるのである。

断定することの少ないハンナ・アレントが厳しく非難していますね。

塚本幼稚園(森友学園の幼稚園)に在籍している幼児や卒業生やその親の今後が心配です。社会への不信感は一生付きまとうでしょうね。
政治利用や利権云々がなかったとしても、森友学園を持ち上げてきた政治家や識者の罪は非常に大きいと感じた次第です。


よろしければ、一日一回バナーのクリックをお願いいたします。