タイトルをみて、「消費税と構造改革に何の関係があるんだ?」と思った方も多いと思います。実は、消費税と新自由主義的な構造改革には大きな関係があります。
新自由主義的な思想の人は、大きな政府を嫌います。税率も低いことを好むのですが、税が全く無いと政府を運営できません。そのため、法人税や所得税の累進税率を下げて、かわりに消費税を上げることを好みます。
「安倍総理は新自由主義的なところがダメだが、新自由主義だからこそ増税には反対だろう。その点では私たちの味方だ」と思っていた保守層は多いようですが、完全な見当違いです。安倍総理はむしろ「消費税に関しては」増税派なのではないでしょうか?
1.消費税とは何か?
消費税とは何でしょうか?消費税とは「消費者(購入者)が支払うが、政府へ納税するのは事業者だから、間接税だ」という建前になっています。これは本当なのでしょうか?
消費税とは「付加価値税」であると言われます。最終消費者がヨドバシカメラで5万円出してテレビを買いました。5%の2500円が消費税となります。ヨドバシカメラがソニーから直接仕入れていると仮定すると、ソニーの卸値が4万円であれば、ヨドバシカメラは支払った4万円の5%である2000円と、受け取った2500円の差額である500円を税務署へ納めることになります。つまり、各企業で発生した付加価値(売上高-仕入高)の分だけ、納める・・・これが消費税です。
ところが、、、企業の規模によって、価格支配力には差異があります。大企業は「消費税の増税分は、あんた(請負先)がかぶれ」と言えます。逆に零細企業は、売上の分はかぶっても、仕入の分はきっちり消費税分(4月からは8%)上乗せて払わなければなりません。
つまり、消費税は間接税と言いながら、実際には「売上にかかる」直接税としての性格が強い税だということです。実際、最初は「売上税」という名称で国会審議も行っていましたが、一度は廃案になったことからリベンジで「消費税」として成立したのです。それが竹下内閣の頃になります。
2.消費税の問題点
消費税には、以下のような問題点があります。
①輸出分には一切かからない(輸出製品のための仕入は後から還付)
②零細企業には事務負担が大きい
③赤字法人も納税義務がある
④正社員の賃金は仕入控除が無いが、派遣社員の費用は仕入控除となる
トヨタ・キヤノン・住友化学などの輸出大企業が多い日本経団連は、消費税の増税と法人税の減税をセットで主張していました。これはどうしてなのでしょうか?
先ほども触れましたが、大企業ほど「価格支配力」が強いので、消費税の5%分を下請けなどへ飲ませることも可能になるからです。また、輸出品には一切消費税がかかりません。輸出比率が高い企業ほど、消費税はお得になるのです。法人税も下がれば「一石二鳥」となるわけです。
消費税は非常に事務負担の大きい税制であることも問題であります。仕入高の控除を受けるためには、仕入先から来る請求書には事細かい情報を記載してもらった上で、保管の義務があります。大企業ならばERPパッケージで簡単なことですが、零細企業であれば大変です。
法人税の場合は、赤字法人は納めなくてもよいのですが、消費税は年商1000万円以上の事業者は全て納税義務があります。法人税は「利益にかかる」税ですが、消費税は「売上にかかる」税だからです。仕入高は控除できるとはいえ、実質的には「売上高に課税されている」事実は利益の少ない企業には大変酷な仕打ちであります。税務署は消費税の滞納が目立つ企業の各種資産を差し押さえして、倒産に追い込むことも多いようです。
正社員の給与は、仕入高の控除対象とはなりません。しかし、派遣社員や請負の場合は、支払った分を「仕入高」とできるため、5%分を預かり税から差し引くことができます。大企業ほど価格支配力が高いわけですから、「増税分の3%はお前がかぶれよな?」「これだけ大量におたくを使っているのだから、割引しろよな?」という圧力の元、自社は仕入控除をもらいながら、派遣先には値引きを迫る事例も無いことはないでしょう。
3.消費税と構造改革
以上、長々と書いてきましたが、消費税は「大企業に有利」で、「零細企業に不利」であり、なおかつ雇用の非正規化を推し進めかねない「悪税」であるということです。
中小零細企業が消滅して、大企業ばかりになれば「経済が効率化する!」と考えている新自由主義者には好まれそうな税制ですね。でも、街中が大規模チェーンばかりになって、個人の喫茶店や飲み屋が無くなるって、なんだか寂しいですよね。毎日マクドナルドや和民ばかりって悲しくないですか?
さらに、消費税は輸出には課税されませんから、日本経済は徐々に輸出シフトしていくでしょう。量的緩和で円安誘導すれば、なおさらのことです。これって、アメリカが喜ぶ「日本財布論」ですよね?
日本は経常収支が黒字です。財・サービスの輸出に所得収支(対外資産から得られる利子・配当)などを合算した金額がプラスだということです。これは資本収支の赤字、つまり海外へお金がどんどん流出していくことを意味します。
アメリカは、日本から流入するお金を使って、大量の消費が可能になるのです。太平洋の向こうのJAPから、レクサスもそれを買うためのお金も「両方が」やってくるというわけです。藤井聡 京大教授の著書「維新・改革の正体」に詳しいです。
輸出大企業を優遇し、正社員を減らし、日本を外需依存にする・・・これが消費税論者の目的なのでしょう。
