今の女性は輝いてないのですか? | 真の国益を実現するブログ

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あらゆる面から安倍内閣の政策を厳しく評価し、独自の見解を述べていきます。

 自民党の政権公約では、経済成長のための戦略として『女性力の発揮』と題して、「社会のあらゆる分野で2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%以上とする目標(“2020年30%”(にぃまる・さんまる))を確実に達成し、女性力の発揮による社会経済の発展を加速させます。」 と記載されています。
http://www.jimin.jp/election/results/sen_shu46/political_promise/bank/b_007.html

 そして、先日の安倍総理の所信表明演説においても、「若者が活躍し、女性が輝く社会を創り上げること。これこそが、私の成長戦略です。いよいよ、日本の「新しい成長」の幕開けです。」とあります。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20131015shoshin.html

 『女性力の発揮』という公約は、歴代政権もそれに近いフレーズを使用してきたように、耳障りのよい言葉であり、それほど反対の声も上がっていないようですが、違和感を強く感じています。
 なぜならば、これを裏返せば、女性は社会に出て働いてこそ輝く存在であり、専業主婦に関しては、あたかも普段は何も生産的、社会的に効用をもたらしていない、輝いていないということになるからです。端的に言えば、専業主婦の否定です。そもそも何をもって誰の目で見て、輝いているのか輝いていないのか、ということを判断するのでしょうか。
 働いている女性も、仕事と家庭を両立させている女性も、専業主婦も、国民として何の差もないはずです。現況の女性を輝いていないと規定し、女性が輝く社会を創り上げるなど、傲慢以外の何ものでもないと考えます。
 経済学的に見ても、専業主婦の仕事はGDPにカウントされませんが、家事や買い物、介護や育児等賃金を得ず、市場価値で計ることができない生産活動に従事しているのです。
 なお、その経済的価値については、内閣府の「平成25年度男女共同参画白書」では、110兆円にも達すると試算されています。これはGDPの4分の1にもなります。
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h25/zentai/

 それから、やはり現政権は経済を分かっていないと判断せざるを得ません。現状の経済はデフレです、これは現政権も認めています。総供給に対して総需要が不足している状態です(デフレに関して貨幣供給制約を原因とする貨幣数量説は無視します)。この女性の活用を含めて、安倍政権の第三の矢である成長戦略に関しては、ほとんどが総供給を増やす対策ですので、デフレからの脱却というよりも、むしろ加速させるものと考えます。

 さらに言うと、GDPが拡大しない中で、女性労働力を増やせば、その分、それ以外の男性がということになりますが、男性が失業するか、男性の賃金低下を招くことになるだけです。これでは男女間の対立を煽ることにもなりかねいと考えます。

 とにかく積極的な財政出動を行う等により総需要を増加させ、GDPを拡大する施策を取らなければ、男性の中には、女性の進出により仕事にあふれたり、正規雇用から非正規雇用を選択せざるをえない者もあらわれてきます。

 もっとも、その分だけ妻が働いて賃金を得ますので、家計全体としては問題がないと思う人も多いかもしれませんが、現実的には妻が働いたとしても、男性の収入減を十分にカバーできない可能性が高いのではないでしょうか。逆に経営サイドからは有利になるのでしょうね。結局、家計という一家の収入で見た場合、GDPを押し下げる可能性もあり得ると考えます。
(ただし、女性の社会進出が進み、家事・育児代行サービスの購入が増えれば、必ずGDPを拡大させることになります。今まで経済統計上にあらわれてこなかった主婦による家事・育児等の労働が、GDPに反映されるということです。)