バスを降り、同じ会場へ向かいそうな若者の後を追いかける。
緩やかな下り道を抜けると、砂浜と海。
開演時間を過ぎての到着だったので、自然と早足になってしまった。
聞き慣れた歌声が波音に混じって聞こえてくる。
辺りは暗く、周りにいる人達の表情までは見えない。
正面に海、他には何もない場所でのライヴ。
気づけば買ったばかりの靴を脱ぎ捨てて、ゆうこちは裸足になっていた。
***
滞在時間は2時間もなかったと思う。
バスに乗っている時間を差し引いたら、きっと1時間ちょっとしか残らない。
でも「その時間のために」という気持ちが心を占めていたわけではなかったように思う。
その前後の時間を「その時間のために」犠牲にするつもりはなかったし、
1時間ちょっとの時間が、物足りないということもなかった。