だいたい決まった時間になると、タバコを吸いに建物の外へ出ていく。
ぽかんと煙を吐きながら、ほんの数分感の間、ぼーっと見慣れた景色をただ眺めているだけのこの時間が、
ちょっとした定点観測の時間になっていることにふと気づいた。
会社の向かいにあるマンションが、いつの間にかすっぽりとカバーをかけられていたり、
日差しのあったかさが徐々に強くなってきていることを感じたり。
昨日と今日の境目はあるのかないのかわからないほど曖昧で、
時々自分がどこにいるのかがわからなくなってしまうけれど、
こんな風にぽかんと何も考えない場所に立ってみると、確かに境目はあると気づくのだった。
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ワコーさんの顔をまじまじと見たのは久しぶりだった。
しばらく見ないうちにかなり痩せこけていたので心配して「大丈夫?」と聞くと、エネルギーが足りていないのでフラフラだと言う。
フラフラの癖に、筋肉の方はいい感じに仕上がってきているのだと、服をめくって腹やら足やらを披露したがるので呆れてしまった。
半年前ほどには88キロあった体重が今では67キロほど。
「いい」ダイエットだとワコーさんは言うが、ダイエットというよりも苦行に近いものを感じてしまう。
ボディビルダーは皆こういった経験を通過して大会に出場していくのだと、
自らに課した試練の重さに酔いしれているかのような口ぶりをするので、あははと笑いながらフェードアウトする。
ワコーさんのハレ舞台となる関東大会まで、残り2ヶ月と少し。