3号被保険者制度 ~年金記録訂正で年金返納?~

 新たな年金記録が見つかったことで、年金額が減額されたうえ、年金の返還を求められているという新聞記事を目にしました。
 結果的には、87日に厚生労働省から発令された通知により、対象者から年金の返還を求めないことになり、すでに返還された分については改めて支給されることになりました。
 この問題は、国民年金の第3号被保険者にかかるもので、すでに年金を受給している人達に該当する可能性があります。

3号被保険者制度の始まり

 第3号被保険者制度は、19864月から始まり、配偶者(ここでは夫とする)が厚生年金や共済年金の加入者(第2号被保険者)であれば、その配偶者(ここでは妻とする)に、一定の要件を満たすことで国民年金保険料を負担せずに、基礎年金額が支払われるというものです。
 国民年金がスタートした19614月から19863月まで、サラリーマンの妻は、国民年金に任意加入で、保険料を支払っていなければ、基礎年金額に反映されませんでした。しかし、19864月以降、手続きをきちんとしておけば年金額に反映されるということで、当時の人々への反響は大きかったのではないでしょうか。
 また、当時の手続きは、自ら市区町村役場で行うことになっていました。

特例届出

 第3号被保険者が届出もれに気がついても、第3号被保険者期間の直近2年間についてのみさかのぼって保険料納付済期間とし、それ以前の期間は保険料未納と同じ扱いになっていました。
 特例措置として、19954月から19973月までの2年間は、特例届出により、2年以上さかのぼって保険料納付済期間に算入する時限措置も実施されてきました。
 ところが、夫の転職や本人の短期間の就職(2号被保険者)などにより、手続きがされないなど第3号被保険者期間について未届けになってしまっているケースが多発してきたこともあり、20024月からは、夫の勤務先が妻の第3号被保険者手続きを行うことになりました。
 しかし、その後も第3号未納期間を有する人が多いことから、2004年の年金法改正で、20054月から、2005331日以前の第3号未納期間について、届出にかかわる期間は保険料納付済期間として扱うことになりました。また200541日以降の期間についても、やむを得ない事情があると認められれば、第3号被保険者期間に算入されることになっています。すでに年金を受給している人が届出をした場合には、その翌月から年金額が改定されることになります。

記録漏れの影響で・・・

 新聞記事の女性のケースは、当初第3号被保険者の届出をしていましたが、その後一時的に会社勤めをし、第2号被保険者となり、退職後第3号被保険者への種別変更の届出をしていなかったために起こったものです。
 1997年から基礎年金番号制度が実施され、11年金番号が基本となりましたが、それ以前は、制度が変われば別番号が振り出されていました。
 この女性は、厚生年金に加入していた認識がなく、受給権発生後、老齢基礎年金の裁定請求だけをしました。その後、宙に浮いた年金記録のなかから生命保険会社に勤務していた厚生年金の記録2件、計6カ月を見つけ、記録を訂正したところ、生命保険会社退職後の100カ月が未加入となってしまいました。その結果、受給資格300カ月を満たせなくなり、特例届出をした時期までに支払われた年金約110万円の返還を求められたものでした。

民主党政権誕生と株式市場の行方

 リーマン・ショックからはや1年。
 先進国を中心とした金融対策と財政政策により、危機的な状況にあった世界の金融市場は、現在、正常化の様相を呈しています。
 また、それに伴って急降下した世界経済について、一時期より楽観視する見方も増えているようです。
 ただし、危機が去ったとしても、過去長く続いた米国一極集中型の世界経済に回帰するという見方は多くありません。
 むしろ、中国やインドといった新興国経済が台頭し始める新しい時代へという、大きなパラダイム転換の始まりとの見方が多いのではないでしょうか。
 そんななか、日本でも大きなパラダイム転換が起きました。
 自民党から民主党への『政権交代』です。
 以下、この1年間の日本の株式市場を振り返りながら、民主党政権誕生によって日本経済がどのように進んでいくのか考察してみたいと思います。

過去1年間の株式市場動向
 日本の株式市場における投資家別の売買動向を見ると、外国人投資家は順張り投資(上昇していく動きに追随して買う手法)、個人投資家、年金の運用と見られる信託銀行は逆張り投資(下落していく動きの中で買う手法)という特徴が伺えます。

 このことは、日本の株式市場の行方が外国人投資家の動向に大きく影響されることを意味します。
 現在、日本の株式市場は世界的な株価回復の流れもあり、4月以降の外国人投資家の買い越しとともに反騰してきました。
 この反騰が、今後本格的な上昇につながるかは、新たに政権を担う民主党の政策を外国人投資家がどう評価するかがキーになるものと思われます。

民主党の成長戦略
 前回20059月の衆院総選挙において、郵政民営化を旗印に構造改革を訴えた自民党が大勝したため、日本の成長戦略に期待した外国人投資家が、91011月の3カ月で合計約4兆円の日本株を買い越し、8月末12413円だった日経平均が翌年3月末17059円へ上昇する原動力となりました。
 今回、新たに誕生した民主党政権が、どのような金融・経済政策を展開するのか、民主

党のマニフェストなどからうかがい知れるのは、「外需主導経済から民需主導経済」「人口動態の改善」「環境技術の育成」といった指針で、消費性向の高い低中所得者に対する所得再配分を重視し、民需の活性化に重点を置いているということです。
 ただし、民主党は民需刺激の予算について、基本的に政府の無駄遣い削減を中心に財源を確保する構えで、消費税増税や財政赤字の拡大には非常に慎重と見られます。
 このような日本経済の新たな成長戦略については、民主党が新たに設置する「国家戦略局」と「行政刷新会議」が中心となって進めていくことになると予想されます。財政再建と成長戦略を描くのが「国家戦略局」、それを実行に移すべく行動に落とし込むのが「行政刷新会議」という役割です。これらには政治家だけでなく民間人の活用も期待され、官僚主導の政治から官邸主導の政治へと新たな枠組みをもって日本のグランドビジョンを作り上げていくことになると思われます。
 株式市場において注目される外国人投資家動向は、7月の1兆円の買い越しから8月は買い越し額5800億円へと若干様子見に転じていますが、今後、民主党政権が具体的に成長戦略を実行できるとの感触を得れば、再び大幅な買い越しに転じ、株式市場が再上昇するきっかけになると考えられます。