まいったな。今日の夕方、教室を終えてから、
他の美術系大学の受験予備校に、通っている受験生が、
親と一諸に作品を見てくれと、やってきた。
2浪して、今年で3回目の受験なんだって。
国公立の大学をめざしてるんだって。
普通は、そんな事、お断りなんだけど知人の紹介なんで、
お相手しちゃった。
予備校の課題のデッサンとか油彩とかを、
たくさん見せて貰ったけれど、そりゃあ2浪もするぜ。
確かに、上手に描いてあるが、見事なほどに、
何にもな~い。
要するに、作者のハートが無い。
これじゃ、見る人の心に伝わるはずが無いでしょう。
俺の教室の受験生は、みんな馬鹿で下手くそだけど
ハートだけは、何とか伝えようという想いが、感じられる。
俺は、毎週、画廊まわりをして、「私は他の人とは、違う」
という、プロの仕事ばかりみてるが、それでも本当に
良いなと思うのは、年に1つか2つだぜ。
そんな目から見れば、自分を表現できていない作品なんて、
お話しに、ならないじゃん。
受験生でも、モノになる奴は、同じ課題の作品でも、
他人とは、一味、違うぜ。
どんな指導を受けたのかは、知らないが、一番大事な
自分を表現するという根っこと、幹ができてなくて、
枝や葉ばかりの、へなちょこな木になったんだ。
キツイようだけど、その事を伝えて、自分を表現するように、
心がけたら、作品が、うんと良くなるよ・・・
とだけ、言っておいた。
可哀想に、俺の所で修行したら、2浪なんて考えられないぜ。
アホらしくて、疲れちゃった。
こんな日は、口直しに、熱いハートの玉撞き野郎達と交わる
のが、一番だ。 行ってきま~す。