LOOSER6、終わってしまいましたね。
最初、NACSのリメイクで、しかも新撰組のおはなしと聞いたときは
そのリスクの大きさに大丈夫かしら?と不安におもっていたりもしたこの作品。
ふたを開けてみたら、なんと素晴らしいことか。
舞台全体を渦巻く熱に、刺激されること終始。
何人かを一度に演じる公演なのに、
そのさかいめがグダグダになったりせずに
ひとりひとりしっかりした演技で確立した役を
一度に何人も見ることができる豪華さ。
そして、おはなしの流れがとにかくいい。
森崎さん尊敬せざるをえないです。
わたしはNACSのLOOSERを先に見ていたのですが、
あちらではほぼ扱いの無かった平助がこんな形でピックアップされ、
しかもかなり斬新なキャラクターとしていることにびっくりしました。
きっと、この配役を予想していたひとっていないとおもいます。
しかも、土屋さんのキュートさを生かした子に書いてくださって、
森崎さんには感謝しきりです。
うっすらオネェの風格。まさに時代を先駆ける魁先生です。
土屋さんの動きのなめらかさや細く締まった肉体が、
平助のキャラクターにぴったりマッチしていました。
しかし、本当の意味で魁先生らしい若さや勢いもしっかりあって、
バランスが取れているかんじもさすがだな、とおもいました。
たたたたたた!と、かわいらしく先駆けられれば、
“この先駆けは、見る側の努力によって成り立っています!”なんて開き直りも、
あれだけ鉢金を取るなと言われたのにいざという時に
“あつい♡”と、取っちゃうドジッ子なところも、ホイホイ許しちゃいます。
で、かわいいだけでなく、土屋さんらしさもそこここに出してくださって。
常人の3倍の汗をかくというのも、非常に土屋さんらしくて毎回ウケました。
それで鉢金を取りたがるエピソードに続ける流れもスムーズです。
(しかし、一度だけあった奇跡の最前のときは
周りがNACSファンのかたばかりだったということもあって、
*pnish*てきな笑いとはちょっと違うかんじだったので
派手にわらっているのはわたしだけでしたが 笑)
しかし、各々のコアなファン向けのネタをそのまま使うのではなく
万人受けもするものにやんわりシフトして
さりげなく組み込まれているのがまた素敵です。
役者さんの個性を理解したうえで引き出しながら
このひと手間を加えることで、ダレない、スキの無い時間を創り出しているなとおもいます。
平助が加わって情がより移りやすくなったというか、
*pnish*てきなお遊び要素が増えたことで
より見やすくなった感じもしました。
たとえば古高を土方のもとに連れてくるシーン。
あの緊迫していたシーンが、セリフを変えずにあれだけのおもしろシーンになりえたのは、
平助のキャラクターがあってこそ。
そのあたりをうまくまわるように設定づけるのがすごいなとおもいました。
途中で出てきた大和屋も、悪商人らしいいやらしさ、うさんくささが前面に出ていて、
平助の雰囲気としっかり使い分けてるな~とおもいました。
ちょこまか動く姿もうざかわいくって。
上手の袖に長州浪人がわっちゃわっちゃ~
鉞担いだ金太郎が~なおぞましい光景が~とか
もはや言えることを前提にしているのか?状態で
おもいついたことをとにかく口にしちゃってるような感じとか、味わい深いです 笑
そして、桂さんの凛とした佇まい。そこに急にぶっ込まれる
ラマの癒し系具合等ひとつの役柄でもメリハリがきいていて、
やっぱり土屋さんは芸達者だなと。
途中でラマになってしまう桂さんは何なんでしょうね。
泣きそうな顔できゅ~きゅ~鳴くラマのかわいさったら!
あんなラマがいたらマチュピチュになんて帰さないです。
わたしがお持ち帰りします 笑
桂、土方、森崎さんの三人のシーンはほんとうに目を見張る迫力で。
信じていたものに裏切られ、打ち砕かれながら刃を振るう桂さん。
迷いながらも自分に正しいと言い聞かせ、自分を奮い立たせて進んできたのに、
それは間違いで、自分は一人の策士によって操られていたと知る絶望。
土屋さん自身、竜馬の生きざまに感銘をうけたことも多かったようですし
こういった視点で竜馬というひとを受け止めることに戸惑いもあったかとおもいます。
それが桂の気持ちとシンクロして、
予想外に感情が高まってしまったのかしら、とおもったりもしました。
さらに、そこにたたみかけるように
森崎さんの子供のはなしを聞かされる。
自分のやってきたこと、これから本当に成さなければならないことに
やっと向き合うことができたのは、
道を間違えてしまった息子と桂をシンクロさせて
生きて、もう一度やり直してほしいと
決死のおもいでぶつけてきてくれる森崎さんがいたから。
その熱に桂として動かされた気持ちも合わさった昂りだったとおもいます。
土屋さんが袖に入った瞬間号泣してしまった、と書かれていましたが
勘違いでなければ、土方に斬られた後肩を押さえながら座り込み、
吉田の気持ちを受け止めるこのシーンですでに泣いていたように見えました。
そんなところに心動かされつつ、
汗かハナミズか涙かわからない熱のかたまりを纏った桂さんが
光に照らされて、神々しいほどにキラキラしていたさまにも同時に目を奪われました。
とても美しかったです。
今回、そのシーンの桂さんを絵にしてはみましたが(上の記事)
どうにも伝わらないものですね。
でも、伝わらないなかでも伝えたい意だけでも込めて描きたかったのです。
憎しみでもない、諦めでもない。動揺?決心?
あの表情は見たひとにしかわからない。
ってことはわかっていても、表現してみたかったのです。
真にせまるものは舞台上にしかなくて。
でもわかっていても描きたくなってしまうだけのものがそこにはありました。
あと古高も描きたかったのですが、ちょっと色々足りてなくて描けず。
今回のLOOSER6、個人的MVPは古高でした。
今回の大樹っちゃんはものすごく良かった。
なにか殻を破ったというか、すっごく生に感じられて、
古高のシーンはかなり泣きました。
一般的な古高像とはすこし違うかなとおもうのですが、
守るもののために、余計なこと抜きにまっすぐいる姿勢がすごくきました。
大樹っちゃん自身のかもすキャラクター性ということもあるのだとおもいますが、
自分の信じるものを見据えているだけなのに、
なんでこんな仕打ちを受けなければならないんだ!と
全身で訴える姿に胸が痛みました。
沖田のラストも本当に良かったです。
沖田は、正直なところどの作品でも
ちょっとしこりの残るところがあったりするのですが
(単に、わたしの好みじゃないというだけかもしれませんが)
大樹っちゃんの沖田は、ありがちな黒さみたいなものがなくって
自分が正しいとおもうことをただまっすぐ見て進んでいるだけなんですね。
だからこそ、沖田もラストで泣けたんだろうな。
古高、沖田の最期はとても悲しかったのですが
違う意味で最期にグッときたのは宮部。
“シビレる!”って言葉がめずらしくもしっくりくるくらい、
あまりにも男前で魅力的でした、宮部。
最初に沖田と対峙したときの大人な対応も非常に素敵だったのですが
木刀と刀という明らかに不利な状況でも
沖田の剣の道を究めたい、というまっすぐさをかって
真っ向から挑む心意気。
自分が敗れたことに対する落胆、無念の意が無いわけはないのに
親と子ほども歳のちがう沖田が勝ったことに
いや、もしかすると、最後に沖田と刀を交えられたことに
“うれしか~”と発する声色の確かな充実感。
そして、武士として潔く散っていく姿。
女も男も惚れる男だとおもいます。
森山さんの土方は、最初こそユルかったものの、
どんどん史実上とはまた違った方向で鬼の副長らしさが出てくるというか。
その全てが新撰組を大きくして、近藤さんを立てるため、
というのがはっきりわかるようになっていて
土方の生きざまの全てを表しているのが良かったなとおもいます。
しかし、森山さんがハマればハマるほど
桂や古高に気持ちが入りがちなわたしはつらかったです。
そのぶん、箸休めてきな永倉には大いにウケました。
しかもチャラ男のくせに強いとか素敵。
飯野さんの芹沢は、本当にイメージ通りの芹沢で。
森崎さんが飯野さんの芹沢を!というつよい気持ちを持って
LOOSER6をつくりあげるに至った経緯が見えるようでした。
今回、芹沢としては前作よりお遊び要素が減ったようにもおもいましたが
そのなかでも、芹沢の魅力がぐんと増しているなと感じました。
飯野さんが芹沢以外の役を演じられていないことに対しても
森崎さんのなかで、飯野さんの混じりっ気のない芹沢を大切にしたい
という愛情のかたちを見て、ぐっときます。
そして森崎さん。
森崎さん、ご自身でオヤジ役とおっしゃっていましたが
ただのオヤジじゃなくって、たかよしくんのオヤジだったことが
最初のびっくりポイントでした。そっちか! 笑
で、このオヤジがとてもキュートでまたびっくりしますね。
“お父さん寂しいから来てよ~”とか、それはもうキュンキュンしました。
森崎さんは他のひとと違い、
山南さんであり、吉田さんであり、森崎さんでありながら、
ほんとうにまるまる一人のひと、という流れ。
さかいめ無く、一人のひとであるからこそ言えることもあるし
新撰組、攘夷派の両者にはさまれ、どちらの気持ちも
まっさらな状態で感じられるからこその葛藤もある。
自分の人生を悔いて、この時代を生きたひとたちをまっすぐに見る目を持っているので
そんな感情の揺れもしっかり伝わりました。
森崎さんについて感じたこともたくさんあったのですが、
ラストシーンなんかは特に、もう説明なんていらないというか
言っていることが全てでしかなくて、何も言えません。
ご自身が歴史のなかに居る生のひとに向き合って、
悩んで生み出した自分の言葉を、ありのままの感情を乗せてぶつける。
動かされないわけないじゃないですか。
だって、これはぜんぶ森崎さんのものなんだもの。
言えるならば、素晴らしいの一言に尽きます。
作者、演出家、役者、すべての森崎さんが。
・・・ブツ斬りですが、まとめかたがわからないので次のおえかき記事へつづく。