今回は、いま話題の「南鳥島沖のレアアース泥」について、“盛り上がり”と“現実の進捗”を分けて整理します。
結論から言うと、2026年2月のニュースは大きい一歩。ただし勝負はここからで、投資家目線では「通過条件」を追うのが安全です。
まず何が起きた?(今回のニュースの位置づけ)
南鳥島沖のEEZで、探査船「ちきゅう」を用いて水深約6000m級の深海から泥を船上へ引き上げたと公表されました。
ただし、ここで重要なのは「量産できた」ではなく、採鉱システムの“接続試験”として成立性を確認した段階という点です。
なぜ注目?(重希土類×供給リスク)
レアアースの中でも、磁石に使う「重希土類」は特に重要です。EVのモーターなどで高性能な磁石が必要になり、特定の元素が効いてきます。
一方で、こうした素材は供給が偏りやすく、地政学リスクの影響を受けやすい。だから今回の話は、資源ニュースというより「経済安全保障のニュース」として理解すると分かりやすいです。
技術的に何が難しい?(深さより“連続運用”)
水深約6000m級は超過酷な環境です。ただ、難しさは単に深いことだけではなく、そこで“止めずに運用する”こと。
- 長大な配管(ライザー)を通して引き上げる
- 泥は粘土っぽく、詰まりやすい
- 船の揺れ・海流の中で安定運転が必要
環境は大丈夫?(断定しないのが基本)
ここは誤解が生まれやすいポイントです。
公表情報では、泥水を閉鎖系で扱い、周囲への拡散を抑える設計思想(閉鎖型循環方式)が示されています。
ただし、「影響ゼロ」と断定できる段階ではありません。環境影響は、監視しながら検証を積み上げていく前提です。
資源量は?(“推計”と“確定”を混ぜない)
南鳥島周辺には高濃度のレアアース泥が広域に存在し、研究ベースでは大きな資源ポテンシャルが示唆されています。
ただし、ニュースで出やすい「◯年分」「◯倍」などは前提条件でブレます。ここは「研究対象海域の推計」と「商業化の確定」を混ぜないのが重要です。
ロードマップ:次の勝負は2027年
投資家目線で一番重要なのが「いつ、何が達成されれば前進と言えるか」です。
- 2027年2月:本格実証(目標:日量350トン)
- 〜2028年3月:採算性などの評価・報告の目安
- (目標)2030年度まで:民間主導のプロジェクト開始
投資家の「通過条件」チェックリスト(10項目)
盛り上がりより、“通過条件”が積み上がるかで見た方が安全です。
- 成分分析(重希土類比率の確認)
- 連続運転(時間・安定性)
- 回収率/詰まり耐性
- 2027年の実証(350t/日)が通るか
- 精製プロセスの実証
- コスト評価(2028年の整理)
- 環境評価(監視データの公開・第三者性)
- 予算・公募・契約の具体化
- 民間主導PJ化(2030目標)
- 需要家との長期設計(供給契約など)
この話を追う方法(今日のまとめ)
最後に、今回のテーマを追うときの“型”を置いておきます。
ポイントはシンプルで、
- 公式情報に集中(公表情報を優先)
- 言葉を区別(研究の推計と実用化の確定を混ぜない)
- 通過条件を追跡(節目を追う)
- 予算・契約に注目(現実の進捗は資金と合意で測る)
免責
※本記事は情報提供を目的としており、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします
