モスクワは遠かった…
北と中央で独ソ両軍が必死に戦っている中、怒濤の快進撃を続ける一団があった

『装甲師団の父』グデーリアン上級大将率いる第2装甲軍と第2軍である。
第2装甲軍は、キエフ大包囲戦に参加し、ロシアの大地を駆け巡った

かなり疲労していたが、グデーリアンの卓越した指揮の下、ブリヤンスクを突破。
そのままモスクワの南にあるツーラに迫った。
だが、快進撃はここまでだった。
彼等を待っていたのは冬将軍と凄まじい数のソ連軍だった。
キエフ大包囲戦や南方軍集団と戦い続けたソ連の南西方面軍が、ロストフに迫った第1装甲軍を撃破し、その一部が北上してきたのだ。
市民を弾避けに、10倍近くの戦力でバラバラ突撃してくるソ連軍に、さしものグデーリアンも攻めあぐねた

そして冬将軍の攻撃で戦車も兵も行動不能になり、12月11日には遂に力尽きた


『あと一ヶ月早ければ…』
グデーリアンは歯ぎしりして後退命令を出した。キエフで費やした一ヶ月のタイムラグが、防衛の時間的余裕を敵に与えてしまったのだ

かくして『タイフーン作戦』は12月5日に中止され、以後ドイツ軍がモスクワを見ることは二度となくなったのである…


