JOGの慣れ | 酒井根走遊会のページ

みなさんこんにちは。

 

酒井根走遊会です。

 

ニュージーランドは昨日に引き続き本日も新規感染者“0”。

現在約88%のCovid19感染患者が回復したとの政府からのアナウンスがありました。

 

本日5月5日”子どもの日”ですが、WHOの定める“Hygiene Day“”積極的に手洗いをしましょう”という日です。

 

ゴシゴシ手を洗いましょう。

 

さて今日は“JOGの慣れ”についてです。

 

“JOGの慣れ“は陸上競技の中長距離の最も大きな味方なのですが、その評価を誤ると最大の敵になるといっても過言ではないと思います。

 

この目に見えない難しい現象である“JOGの慣れ”を考えていきたいと思います。

 

“ジョギングの成長“

陸上競技のみならず“ランニング”という運動を毎日していると体が鍛えられ、回復と合わせて強くなり、日に日に体が一定の負荷に慣れていくことを感じられます。

特に始めたばかりというのは、その運動がきつく10分ほど家の周りをジョギングした程度でもきつく感じられます。

ある程度継続していると、10分では物足りなくなってきます。

そしてジョギング時間を15分・20分・30分…と少しずつ伸ばしていくことができます。

また、ジョギング時間は長くなっていくだけでなく、ジョギングのペースも少しずつ速くなっていきます。

多くの人がこの成長を実感したことがあると思います。

(最初は狭いスペースで短いランニングを始めた人が多いのではないかと思います。学校の校庭は200mトラックでした。)

 

“JOGの慣れと時間の設定“

ある程度走力がついてきて、ジョギングという運動からランニングという少し競争心を煽るものへとステップアップすると、この毎日行う“JOG“というものが基礎トレーニングになります。

”JOG”という日は、きつい練習ときつい練習の間の練習のいわば回復を促しつつ、基礎的持久力・筋力・総合的な体力を維持させる練習といった内容に変わっていきます。

そして行き着く先は“基本JOGは60分”といった具合に時間設定をする人がほとんどだと思います。

 

“時間設定という目標とJOGの目的のずれ”

JOGを継続し、基本JOGの時間が決まるとそれを達成しないことには満足できない気分になってしまいます。

 

ここでは例を60分が基本JOGの時間という選手がいることにします。

この選手は基本JOG60分を走らなければ、

≪練習をさぼってしまった気分になる≫≪体重が増えてしまうのではないか≫≪体力を維持できないのではないか≫といった不安に駆られるようになってしまい、常にJOGは60分を越えることを考えて行っていました。

その結果、体に少しずつ疲労がたまり、大切な技術練習やワークアウトを十分な強度で行うことができなくなってしまいました。

こういった場合、本来行うべきJOGの目的と、自分自身の心が決めているJOGの時間設定の間に矛盾する点があり、目指すべきものを見失っている状態になったと言えます。

 

 

“レベルアップとJOGの矛盾”

“基本練習のJOG“が自分自身を成長させ、更に走る負荷になれてきたことがあるという経験は、毎日行うJOGに無意識の自信と同時に無意識のノルマを私たちは普段のJOGに課しています。この無意識の設定が精神的な”慣れ”とも言えます。

最初は10分で満足していたJOGも、体の慣れと競技結果により10分では満足できないものになり、それが50分・60分・70分…と膨れ上がります。

そしていつしか、60分行わないと効果がないと考えるようになります。(さらには4分/㎞よりも速いペースで行わなければならないなど…)

しかし実際にこうしたレベルまで来た選手は、各能力を刺激するワークアウトや技術トレーニングが自身のランニングを大きく刺激するもので、JOGは基本的に維持するトレーニングという内容がほとんどです。

それにもかかわらず“維持”のために、毎日同じ負荷を同じようにかけ続けるのは“ハイリスク・ローリターン”なトレーニングと言えますが、この矛盾を意識的に克服するのは意外と難しいものです。

 

というのも“JOG“自体にはワークアウトのような極度の負荷を感じることはないからです。

また技術練習のように普段の動きとの違い・違和感などを即座に分析し・次のセットで修正、(止まって確認して動いてを行うべきですが)ということをJOG中に行う選手は少ないと思います。

”JOG”という練習は選手の競技経験の中でレベルが上がってくることと比例するように”JOG”の時間やペースも向上してきますが、ある程度の年齢・走力また環境・種目の変化などで、その上昇曲線は右肩上がりでないものになります

 

こうした状態での自分で決めた(心の中で決められた)時間のJOGをよく考え、強くなるためにJOGを減らすという選択が必要になる日は必ず訪れます。

そしてその強くなるためにJOGを減らす選択する日数も次第に増えていきます。

 

“バランスとJOG”

最終的に”JOG”の内容を決めているのは、一つの長期的な目標とそれに向かうトレーニングの内容によって、日々の”JOG”の内容は変わってきます。

”JOG”は、”JOG”で得られる能力の“維持”・“向上”を目的として行うわけですが、他のトレーニングの目的・実施目標を阻害しない範囲で行っていきます。

 

例えば

・ ≪JOG+ヒルスプリント≫でJOGを行いすぎて、ヒルスプリントが十分にできない

・ ≪きついワークアウト≫の前日にJOGを充実させすぎて、ワークアウトが十分にできない

・ ≪レース≫の後の回復が必要な時にJOGをやりすぎて、次の充実したワークアウトまでの期間が空きすぎる

など

 (JOGの後の技術練習はよくあると思います。実際技術練習よりもJOGがメインになってしまったという経験がある選手は多いはず。)

 

こうした様々なタイプのトレーニング一つ一つの目的とそれに沿った内容が達成していけるように、すべてのトレーニングを行うバランスを考えなければなりません。

そうして大きな目標に向かう過程で、JOG以外の各練習負荷や重要性が増した分、最終的に全体のバランスを調整する最もシンプルなアジャスターは“JOG“になることをイメージできると思います。

つまり全体のバランスを調整する“JOG”というアジャスターを全く変えない、もしくは緩めたくない、締め続けたい…と考えて実施している場合には、効果が低いトレーニングを強調して、効果が高いと思われるトレーニングを全体バランスのために減らさなければならない(故障による断続的トレーニング・疲労によるワークアウトの質の低下など)という状態を知らず知らずのうちに招いてしまいます。

 

では、”JOGのアジャスターをたくさん緩めて、ハードワークアウトをたくさん入れよう!”と考えても全体のバランスは崩れます。

“JOG”は効果の低い練習と考えて疎かにしていると、パフォーマンスも低下するので注意が必要です。このバランスも選手特性やキャリアによって変わってくるので難しいです…

 

一つ大切なことは、≪アスリート≫であれば一回一回のJOG満足感ではなく、バランスの取れたトレーニングの進行度に自信をもって自分自身のパフォーマンスを向上させることができると良いですね。

 

ある程度基本的なJOGの時間やペースを持っていても、
明日からはGPSの距離表示・ペースに惑わされることなく、自分の感覚と今のトレーニングの全体を見て”慣れたJOG”から一つステップアップした”JOG”へと進化させていきましょう!

 

今日のウェリントンは“雨“

明日は晴れそうですが、芝生は濡れていることでしょう…

今の時期は極力脚に掛かる衝撃を減らして練習したいので、明日は水たまりランニングになりそうです。サッカーをしていた頃を思い出して駆け回りたいと思います。走路とランニング衝撃の緩和に関しては次回以降の記事に書きたいと思います。

今日は晴れのウェリントン写真で

それでは明日もHave a beautiful day👍