みなさんこんにちは。
酒井根走遊会です。
本日は努力の方向性というテーマでお送りします。
練習の度合いから期待される結果が出ない
学校の部活動で中・長距離を始めた選手は多くのチームメイトと一緒に練習に励んできたと思います。そうした中で、
・ 練習は誰よりもできているのに試合で結果が出ない選手
・ だれよりもたくさん走っているのに結果が出ない選手
こうした選手はどのチームでもひとりくらいはいたのではないでしょうか。
そういった選手が練習に対して結果がついてこないのはどうしてでしょうか?
頑張っているという言葉
『練習で毎日自分に、ライバルに勝てるように頑張る。』
『毎日ライバルよりも多く走るように頑張る。』
最初にも述べたように、陸上競技を学校の部活動で始めた選手は多いです。
良くも悪くも学校の部活動は【競技成績】とともに評価されているポイントがこの【頑張る姿】であり、更にそれが競技結果に繋がると指導者・選手・チームの雰囲気のなかで信じられていることがほとんどです。
(”陽はまた昇る”・”抜けないトンネルはない”と伸び悩む選手は声をかけられることがよくあります。果たしてそうなのでしょうか?)
努力不足という理由付け
これは選手よりも特に指導者に当てはまることだと思います。
選手が成長しないことに対して『努力が足りない』
競技成績が悪かったことに対して『努力が足りない』
より競技レベルの高い選手と比較して『努力が足りない』
というアドバイスと呼べるかわからないアドバイスで締めてしまいます。
指導者からこのように言われると選手は、
奮起して今まで取り組んできたことをもっとたくさん行えばいいと考える。
もっと速いペースで行えばいいと思う。
ここまで努力してダメだったからもうこれ以上は無理。
と決めてしまうかもしれません。
しかしここでチーム内で疑問が生じることがあります。チームの誰から見ても最もストイックに、最もハードに練習しているにもかかわらず結果が出ない選手に対して【努力不足】というのはほとんどの選手が納得できないと思います。言われた選手も他の結果が出ている選手と比べて、才能がなかったという結論にもつながりかねません。
努力とは
実際に練習で誰よりもたくさん走り、誰よりも体に負荷を掛けている選手が試合で結果が出ない場合には、【努力不足】ではなく【努力の方向性】を選手に与えてあげることが大切です。
【努力】という言葉は広辞苑で調べると以下のように説明がされています。
“目標実現のため、心身を労してつとめること。”
目標実現のためという言葉が重要です。
目標実現のためには、目標に向かう過程が重要になってきます。この過程は目標実現のための取り組み方といえるでしょう。この取り組み方が目標実現に対して間違っていると心身を労してもいつまでたっても目標にたどり着けません。
トレーニングと目標に対して努力している選手で結果が出ない選手は、目の前のトレーニング達成に対して努力しているだけで合って、目標実現とトレーニング達成に繋がりがないことに気が付かなければなりません。つまり現状のその取り組み方では目標達成は困難ということです。
同じ負荷を上限なく上げることは不可能です。そのためある程度取り組んでみて、思ったような結果が得られない場合には取り組み方を変えてみる必要があります。
もちろん変えるにあたって、それまでの分析と考察が必要になってきます。
これは選手よりも先に指導者が気づくべき点でもあります。
チームという塊の中の違った個々の才能に同じ練習を与えるとき、大きく成長する選手と小さく成長がする選手がいます。
そして大きく成長した選手の成功、つまりその選手がたどった過程と結果がコーチの成功体験となって他の小さな成功体験を曇らせてしまいます。
その結果、様々な取り組みがあることを知りながらも、最も成功した方法にすべての選手やチームを当てはめてしまうこともよく起こります。
そして結果が出ない選手、目標実現できない選手には【努力不足】という評価を与える悪循環になってしまいます。
チーム全体を見渡して、練習をよくこなすが結果が出ていない選手には何か選手の努力する方向性・取り組み方に間違いがあることがあります。そういったことを発見し修正していくことがコーチには求められます。
(同じ練習結果が同じレース結果になるとは限らない。Daniel.C.Jones instagramより)
選手と指導者のコミュニケーション
選手はそれぞれ違った個性を持っています。その違った個性を同一の練習や練習計画と結果で評価するのは選手の限界値を狭めてしまいます。選手は機械ではないので同じパフォーマンスを毎日同じように発揮することは不可能です。一人ひとり違ったトレーニングリズムがあり、トレーニングに対する得意不得意・好き嫌いもあるので指導者は選手の考えを理解する必要があります。
選手の精神的負荷を軽減しつつも、狙った能力を適切に刺激できるトレーニングを選択していく必要があります。もちろん精神的にも肉体的にも負荷の高いトレーニングに取り組むことは必要になってきますが年間を通して行う必要はありません。
選手がギリギリ達成できる難しい練習よりも、少し余裕を持って達成できる成功体験を積み重ねていくことが目標達成には重要です。
違った視点を与える、取り組みを客観視する
指導者として活動する以上、【選手の伸び悩む時期】【伸び悩んでいる選手】をコーチしていくことは必ずあります。こうした選手に対して、【負荷】ということだけを調整するのではなく、【バランス】を調整することがコーチには求められます。
さらには今まで取り組んでいなかった能力開発に取り組んでみることも、トレーニングの負荷バランスを整える重要なポイントとなります。
選手の伸び悩む時期にはコーチも悩む時期になってしまいますが、それはむしろコーチが自分自身の新しい知識を蓄え、知恵を生み、コーチとして成長できるチャンスにもなります。
(選手が違えば同じ練習でも得られる効果は違う。基本的なことだが見落としがちなポイント。そして別の選手より練習ができたから効果が高かったとは一概には言えない。Daniel.C.Jones Instagramより)
現在はグループトレーニングから離れている選手・コーチがほとんどだと思います。伸び悩んでいる選手、練習を全力で頑張っているが伸び悩んでいる選手を抱えて悩んでいるコーチ…いまは落ち着いてそれぞれの場所で分析できるチャンスであると思います。
いまは個人で分析してみてトレーニングを再開できるときに、分析内容やこれからの方向性、そして選手とコーチがどのように取り組んでいきたいのかお互いの考えをぶつけ合ってみるのもいいと思います。
学校の部活は教育活動の一環ですが、なぜか勝利のために【監督】の権力の元にただ何も考えずにひたすら走るだけという指導は現在でも多く残っています。
まずは【チームの勝利】は考えずに、選手の成長を第一に考えることが重要だと思います。
選手の考察力・分析力・決断力やそれを他者と討論できる力を育てることが目標実現と合わせて部活動の教育活動にも求められると思います。
実際、中学生や高校生の時には多くの先生に「勝てるから面白いんでしょ」といわれることはよくありました。もちろんそれもありますが【勝利】だけを追っていたならばおそらく勝てなくなった時点ですぐに止めていたと思います。
競技をする楽しさや興味を与えられる人や環境に出会うことはとても大切です。そうした中からだと、コーチ無しでも【努力の方向性】に気が付ける日がいずれ来ます。もしコーチとしての力不足があったとしても、こうしたきっかけ作りは可能なのではないでしょうか。
今回の記事をまとめながら、常に選手として、また選手と共に成長できるコーチであるように肝に銘じて取り組んでいこうと思います。
ロックダウン中は毎日ブログを更新しようと思っていたのですが、最近は少しとびとびになってしまいました。
ニュージーランドの警報レベル4は4月22日(水曜日)までのあと一週間となっています。
今後どのような方針になるのかは政府で調整中ですが、家にこもっている間はできるだけ毎日更新していく予定です。
今後とも時間のある時に読んでいただければ幸いです。
それでは今日もHave a nice day👍