スプリント と ロングラン 動きを繋げていく… | 酒井根走遊会のページ

はまる

 

スポットの調子がいいので、何気なく膝を上げて地面に向かって落とし、足の裏で地面をポンポンと叩くことが非常に増えています。

2018の8月~5月までの1シーズンを通して、期分け(開発段階)と開発能力を細かく分けて行いました。その中で最も難しく感じたこと(感じていたこと)は、

 

 

【“ピュアスピード”と“基礎持久力”のトレーニングを両立する】

ことでした。相反する二つの能力であり、ランニングフォームも随分違います。各トレーニングの間で調整が難しいポイントはトレーニング計画・設定や疲労といったことよりもむしろ【“ランニングフォーム”】にあると思います。

 

【スプリントとロングランのランニングフォーム】

“スプリント“と”ロングラン“では足底での接地面がやや違うように感じます。また接地面への力の伝え方は大きく異なります。

“スプリント”においては接地を短く・接地面に大きな力を加える(着く前~着く瞬間まで)・接地後に素早く脚を引き上げる(脚が流れないように)・膝を高く

というイメージです。

“ロングラン”においては“体を直線的に接地面に向かって落とす”・“沈み込まないが跳ねない”・“エネルギーを進行方向に向けるように”・“体が落ちてエネルギーを得たら膝の進行方向で自然に進む”イメージです。

 

・     ロングランの動きの最中に、スプリント動作のイメージをすることは難しい

・     スプリントの動きの反復による疲労はロングランでの快適な動きを妨げる

 

昨年は“スプリント動作”と“ピュアスピードの開発”に注力していたために、ロングランでの“はまる“感覚が得られていませんでした。

そのため、いつも40分~60分のJOG、90分~120分のロングランでは、

・     悪い動きでもその時間”耐える“ように行っていた

・     走り始めの筋疲労からくるだるさが抜けない

状態がほとんどでした。

 

【スプリント】

今年に入り、“スプリント動作”・“ピュアスピード”・“ヒルスプリント”の動きや出力が思ったようにコントロールできていることで必要以上に反復する必要がなくなったことを感じていました。これは、

・     動きの再現性が高まり本数をこなさなくてよくなった

・     動きの自動化で疾走中の精神的なゆとりができた

・     精神的なゆとりが、スムースなランニング動作を意識させた

“スプリント”と“ロングラン”の練習の繋がりだけでなく、“スプリント”のトレーニングの日の内容を効率よく仕上げることに繋がりました。

さらにドリルによって“はまる”位置を確認できることで、“はまった”動きを100m~200m・200m~400mへのレペティションペースへとゆとりを持たせて繋げていくことができるようになっています。

レースシーズンに入る前に、各ペースの“動きのコントロール”を意識的にできることが、1500m~10000mのレース中の動きのコントロールに繋がってくると考えています。

 

【ロングラン】

ロングランでの脚さばきは基本的に遅くなります。そのため、地面を叩きに行って反発を得ようとすると省エネ・遅いペースをリラックスして継続できません。

ここで意識することは、“体がはまる位置に落ちること“です。

 

“スプリンター”が大きな上半身・強い体幹を持っているのはなぜでしょうか?

スプリンターは地面へ力を加える作業を全身のタイミングで行いますが、同じ筋出力でも、その体の質量が大きい方が、、地面から得られる反発力は大きくなります。

この反発する力は体が宙に浮く時間のある“ランニング”というスポーツでは、速いペースでも遅いペースでも必ず得ることができます。ロングランではこの“体重が地面に落っこちて生じる反発力”を全身に感じながら走ります。ここで“はまる”感覚が得られていれば、筋疲労を軽減し快適なロングランを行うことができます。

遅いペースでも“はまる”位置を常に確認できることによって、JOGを効果的に行っていくことが可能です。JOGで筋疲労がたまってしまう動きでトレーニング計画を継続していると、故障を招きます。また疲労からの回復が遅れてワークアウトで狙ったような走りができないなどの悪い連鎖に陥ります。

“スプリント”・“ロングラン” 大きく異なるランニングフォームの中でも、共通して意識できるところに集中して各トレーニングに取り組むことによって、並行して行う上でのジレンマを利点として捉えてステップアップしていくことが可能です。

 

マラソンで後半大きく失速するレースは、地面の反発力を得ることが非常に困難になり、筋力で地面を押すことに頼る走りになる。そのため臀部やハムストリングの筋疲労が大きく残る。マラソンの2・3日後にこの状態でJOGをすると、筋肉を多用した部位が痛かったり、だるかったりする。しかし十分にアップ・ドリルを行ったうえで流しなどの速い動きを体の前で脚を回していくイメージで行うと、地面を強く押す動作が軽減し思いのほか疲労が残っていないようにも感じられる。この遅い動きでの痛みや疲労感は悪い動きと筋疲労によって生じているので、それが発生しないような動きで丁寧に走ることは”はまる”と良いランニングフォームを確認するチャンスにもなる。ネガティブな要因も分析し効果的に改善できれば、ポジティブな要因になる。

 

ロードレースとマラソン

2019/2020シーズンはその“はまる”感覚を確認し養いながらベース期を作れました。

昨年完走できなかったオークランドマラソンマラソンですが、今年は最後まで走り切ることができました。

中・長距離というスポーツで必要な

・     短距離を全力で走ること

・     ゆっくり長く走ること

これらを基本として常に確認し、定着できたことは、レース期の専門的な練習を効果的・実践的に取り組むうえでの大きな柱になると考えています。

特にテンポやVO2のトレーニングでは“努力感”が大切になりますが、“はまっている”のと“はまっていない”のでは同じ努力感でもタイムに大きな開きが出るだけでなく、“基本的な走り“の快適度が全く違います。この快適度を常に一定して発揮できるように意識的に確認する・できることはハードなワークアウトを行う上で非常に大切なことです。

 

 

昨シーズンは100mでもロングランでもタイムにこだわりすぎて、走りの快適度を見失いがちでした。今年はどちらに対しても精神的なゆとりがある為、確認作業に意識的に取り組むことができています。

1月から始まるトラックシーズンが楽しみですが、まずは来週から始まるワークアウトでのランニング動作と疾走感を楽しんでいきたいと思います。