WeightTraining x Recovery  | 酒井根走遊会のページ
こんにちは。酒井根走遊会です。

今回は『ウェイトトレーニングの頻度と回復』についてお送りします。

☆中長距離走におけるウェイトトレーニングの効果

1、走効率の向上
 ・ランニングフォームを安定させることにより、走効率を改善する
 ・神経系を刺激することにより、走効率を改善する
 ・筋、骨格の動きの連動性を効率的に発揮し、走効率を高める

2、ランニング障害の予防・ランニングストレスの低減
 ・全身の筋、骨格の連動性を高め、足首・膝・アキレス腱・足底などランニングによる衝撃が大きくかかる部位へのストレスを軽減する。局所に対してのオーバーユースを低減する
 ・神経系の開発を促進し、走効率を高めることにより、ブレーキ動作や関節内における捻じれを低減させスムースなランニング動作を作り、局所に対してのオーバーユースを低減する

3、最大スピード・最大下スピードの安定
 ・神経系を開発することにより、瞬間的な筋の伸張反射能力を改善する
 ・動きの連動性を高めることによって、最大スピード・最大下スピード発揮時(特に最大下スピード)に動きをコントロールできる感覚を養う

簡潔に示すと、上記のようなことが挙げられる。

『ウェイトトレーニング』とよく誤解されがちのもので『筋力トレーンング』(よく部活動などでは『筋トレ』・『補強』と呼ばれる練習)がある。『筋力トレーニング』の中でも、毎日腹筋・背筋100回・腕立て伏せ50回・スクワット100回などといったトレーニングがあるが、これは『筋持久力』を高めて上記のような目的を達成するものなので、狙う目的は似ていても、アプローチの方法としては全く違うものとして考えるべきである。

『ウェイトトレーニング』よる体への刺激は、『ドリル』による動きの連動性の練習や『短い坂ダッシュ』による筋のSSC(ストレッチショートニングサイクル)の改善といったような練習に近い。


☆期分け・ピリオダイゼーションにおけるウェイトトレーニングの位置づけ

プラン1、ベース期(3ヵ月中の中盤1ヵ月)・鍛錬期(3ヵ月中の中盤1ヵ月)が最大となる。ベース期~鍛錬期を通して継続して行い、レース期に減衰する。

プラン2、ベース期(3ヵ月中の終盤1ヵ月)・鍛錬期(3ヵ月中の序盤1ヵ月)が最大となる。ベース期~鍛錬期を通して継続して行うが、練習の質(強度)が上がるにつれて減衰する。

上記の2パターンのような方法が、多くのランナー・コーチングの中で取り入れられている。 

・練習の時期や段階に応じてスピードを上げることに対応して、ジムでのトレーニングに変化を加える
・ウェイト、ステップ、チューブなどを利用し、トレーニングにおける関節の動き、全身の連動性を意識する
・ストライド(流し)、ショートスプリント、坂ダッシュなどで実際の走りに体を慣らす
時期と走りのトレーニング内容に応じて、常に『走りの感覚を上げる』練習として取り組む


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現状に合わせて

先月中旬から、1年間の練習計画を通して『走能力を進歩・向上させる』、『年間計画での最大の目標を達成する』ということを明確にして練習を再開。
現在はベース期①(基礎的なランニング・神経系の開発)の時期。

トレーニング開始1週から3週間は周に3回ジムトレーニングの日があり、週に6日基礎的なランニングやヒルトレーニング。
毎週土曜日の簡単なテンポ(LTの改善よりもランニングの改善の確認を重視)では走りの感覚はよくなっていることを毎週感じられる。
毎日のランニング時においても『大きな疲労感』はあまりない。
しかし、やや体への負荷が強すぎたためか、『ウェイトトレーニング』を行った次の日以外の日でも慢性的にハムストリングから臀部への疲労感と張りを感じるようになっている。

最近の練習計画の流れとしましては以下参照。

6・18 ウェリントンマラソン
6・19- 休養期(1ヵ月) 完全休養3週間 ジョグorジムorサイクリング1週間
7・17- 練習再開

1週目
月 Easy run  GYM(Heavy)
火  Easy run  Hill Sprints
水  Easy run
木  Easy run  GYM(Light & Quick)
金  Easy run
土  Tempo 3k(9'55) 2k(6'39) 1k(3'20) GYM(Heavy)
日  Easy run  Hill Sprints

2週目
月 Easy run  GYM(Heavy)
火  Easy run  Hill sprints
水  Easy run
木  Easy run  GYM(Light & Quick)
金  Easy run
土  Tempo 5k(3'20-20-10-10-00)  Hill sprints GYM(Heavy)
日  Long run(1.5h)

3週目
月 Rest
火  Easy run Hill sprints  GYM(Heavy)
水  Easy run
木  Easy run GYM(Light & Quick)
金  Easy run Hill sprints
土  90'(30min faster) GYM(Heavy)
日  Long run(1.5h)

4週目
月 Rest
火  90'(30min faster) GYM(Heavy)
水  Easy run
木 Rest (アキレス腱)
金 Easy run
土  Easy run GYM(Light & Quick)
日  Long run(2.5h)

5週目
月  Rest GYM(Light & Quick)
火  Tempo 8k(3'00-6k3'20-3'00*4kTealwind-4kHeadwind) Hill sprints
水  Easy run
木  Easy run
金  Easy run
土  Tempo 3k(9'08) 2k(6'03) 1k(2'55)  Gym(Light & Quick)
日  Long run(2.5h)

GYM SESSION
1、Light & Quick
・Squat 60kg(Jump) 4rep 3-5set



・High clean 40kg- Front Squat- Range 2each 3-5sets




・Single Leg Deadlift 40kg 4rep 3-5sets




・High clean/Front Squat 40kg 4rep 3-5sets


 Upper body
/Chin-up/Leg raise/Bench-press/
2、Heavy ①
・Squat 60kg1set- 80kg1set- 100kg 4rep 3-5sets


・Dead-lift 60kg1set- 80kg1set- 100kg 2-4rep 3-5sets


 Upper body

3、Heavy  ②
・Squat 60kg(Full) 4rep 3-5sets 100kg(Half) 4rep 3-5sets

・Dead-lift 80kg 4rep 3-5sets Single-leg60kg 4rep 3-5sets


 Upper body

Recovery
Drills

Balance ball



Dragon flag ...


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☆考えられる問題

・『ウェイトトレーニング』の頻度が高すぎる
 ➡週2回で回復日を増やすべき
・『ウェイトトレーニング』でのハムストリングへの刺激を与える種目が多すぎる
 ➡セット数を減らす/週の頻度を減らす/種目間の回復時間を長くする
・『ウェイトトレーニング』後のリカバリーが足りない
 ➡栄養不足/ストレッチ不足/関節の硬化
などが挙げられる。

実際に4週目に、左アキレス腱の痛みを感じ、木曜日の練習(ウェイトトレーニングも含む)を回復日に充てたところ、アキレス腱の痛みは軽減された。こういったことから、下肢裏全体の筋肉の張りが慢性化している状態にあるといえる。4週目・5週目は『ウェイトトレーニング』を週2回へと軽減しているため、ややハムストリングから臀部への張りが改善したように感じられるが、まだやはり過度に張っている感覚はある。


☆『ウェイトトレーニング』の実施と走動作の関連性について

『ウェイトトレーニング』で扱える負荷が大きくなった≠『走ることが速くなる』
ということを常に念頭に置いて『ウェイトトレーニング』を実施していく必要がある。
『ウェイトトレーニング』や『プライオメトリクス』ではトレーニングでのコントロールテストを行うことが、選手へのモチベーションや年間・キャリアを通してのウェイトトレーニングの指標として用いることができる。
しかし、短いトレーニング期間の中で『ウェイトトレーニング』の結果や種目の改善に意識が行き過ぎてしまうことには注意が必要である。
特に『ウェイトトレーニング』と『期分け』を導入した選手やコーチに関しては、『走動作』から意識が離れすぎてしまわないように、走りの感覚や動きを丁寧に『基礎的なランニング』で確認していくことが重要になってくる。

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今回のトレーニングで得ている感覚は今までの経験ではあまり考えたことの無かったことなので、『ウェイトトレーニング』をトレーニングサイクルの中で定期的に行っている選手や取り入れているコーチの意見はぜひ伺いたいと考えています。