沖縄
版画家の名嘉睦稔さんが会場に現れた。子供たちの表情に緊張が
走り、次の瞬間こころからの笑顔に変わった。
「すごい絵じゃないかー!君が描いたのか。この絵は力があるねぇ」
結局、睦稔さんは「すごいねー!」ばかり連発していた。でもそれが
「すごい」のだ。あの太陽のような屈託のないこころからの笑顔に触れ
て、「すごいねー!」を連発してもらった子供たちは最高にハッピーだ
った。
八月十二日、北谷のアカラギャラリーにて、名嘉さんの作品を目の当
たりにしながらギャラリーの中で絵を描くというイベントに、家族総出で
参加した。
「すごいねー!君たちの絵に近づきたいんだよ、おじさんは本気で」
「教わってるのはぼくなんだよなー」
名嘉さんは何かを教えに来たのではなく、「子供に教わる」ことをお知ら
せに来てくれたのだ。
自分の仕事のことを考えた。テニス。ヨガ。・・・確かに教わってばかり
に違いない。
「はい、順番に並んで」
「早く並びなさい!」
「何度言ったら分かるんだ!」
分かってたまるか・・・でいいのだよ。君たちが順番に並びたくなるのは
時間の問題で、今それ以上に大切な何かと対峙しているのは分かる。
こころが踊るその何かの方に、僕の本当の興味は向けられていくのだ。
