選択
僕は、あらゆることで迷っている。
「これだ!」と即決できることは、とても少ない。
ジュースの自動販売機の前で、何を飲むかですら悩む。全部、飲んで
みたいのだ。
貴重な百二十円を使って、どれを選ぶか?
そこで、選択がはじまる。「これは違う」という品を脱落させて、選択肢を
減らしていく。最後の二つまではなんとか絞り込める。
ところが、この二つは甲乙つけがたい。ファイナル・アンサーの重みが
迫る。
最後まで決めきれずに、二つ同時にボタンを押して、ジュースが二本出
てきたことが過去二回ある。
・・・・・・・「中田主義」 中田宏著 ~講談社
40年以上住んでいる横浜の前市長さん。考えに考え抜いた末の結論は!
「えーい、両方同時に押してしまえー」 運を天に任せるのだ。・・・そして結
果は!「両方出てきちゃったよ。どうなってるんだ!」 うーん、好嫌のこだ
わり、贅沢な逡巡タイム。何時までも迷っていていいのだよ、柔らかな日差
しを届けてあげるから。・・・と、やがて判断の時。しかし最後まで判断はつ
きませんでした。ピタッ、まったく同時にボタンを押したなら、双方のジュース
が飛び出すこともまた必然。うじうじ考え込んでいた今年の夏。そのあとに
やってきたのは、たわわに実の実った収穫の秋なのでした。
めでたしめでたし・・・。