こんにちは。
前回は女性の年齢と染色体異常との関係についてお話をしました。
染色体数に異常があることで、着床率が下がってしまったり、
流産になってしまうことが増えてしまいます。
着床前スクリーニングは、体外受精させた胚を子宮に戻す前におこなう
着床前診断の1つです。
この着床前スクリーニングによって、胚の状態の染色体数を調べることで
染色体の数の異常が事前にわかるようになります。
今日からは、着床前スクリーニングの仕組みを少し詳しくお話をしていきたいと思います。
染色体を調べるには、まずは一部の細胞を採取する必要があります。
胚盤胞には100程度の細胞になっていますので、
その中で将来胎盤になる部分の細胞から、その一部の3~5個の細胞を採取します。
このように、検査用に一部の細胞をとることを胚生検と呼びます。
この細胞を採取するのは非常に細かい作業のため、顕微授精用の高倍率の顕微鏡を用います。
そして胚を固定し、透明帯とよばれる層に小さな穴をあけて、
傷をつけないように、非常に小さいピペットで細胞を採取します。
透明帯とはもともと卵子を包んでいる、透明な糖タンパク質の層のことをいいます。
胚盤胞になるにつれて、透明帯は薄くなり、やがて破られて胚が脱出します。
胚生検によって細胞を採取して、胚盤胞の細胞数を減らしてしまっても
そもそも問題ないのかと疑問に思われるかと思います。
これはすでに研究でも判明しているのですが、
胚盤胞まで育ち、多くの細胞がある場合、少数の細胞を採取することの影響はないことがわかっています。
こうして採取された細胞を着床前スクリーニングによって、
染色体数が正常にあるか検査をしていくのが次のステップです。
次回は、採取された細胞からどう染色体数の検査をおこなっていくのか、
お話をしていきたいと思います。
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