【ニューデリー時事】ザルダリ・パキスタン大統領の過去の汚職疑惑について政府が訴追を再開しないのは法廷侮辱に当たるとして、最高裁はこのほど、ザルダリ政権の要であるギラニ首相に19日に出廷するよう命じた。政権が軍部との対立で窮地に陥る中、最高裁が軍を側面支援した格好。首相が有罪と宣告され、失職する事態も想定され、政権を揺るがす事態に発展している。
ザルダリ大統領は過去に、妻だった故ブット元首相の在任中のマネーロンダリング(資金洗浄)など、複数の汚職事件で捜査対象となったが、ムシャラフ前大統領の恩赦で免責され、2008年に大統領に就任した。最高裁は09年に恩赦を無効とし訴追再開を命じたが、現政権は大統領の免責特権を盾に拒否してきた。
約2年間沈黙を続けた最高裁が突然強硬姿勢に転じたのは、キアニ陸軍参謀長率いる強大な軍部が、ザルダリ大統領に批判的な最高裁トップのチョードリー長官に裏で手を回したからだとの見方が根強い。パキスタンでは昨秋、ザルダリ政権がパキスタン軍によるクーデター阻止などを米軍首脳に要請したとされるメモ疑惑が発覚し、軍の反発が急拡大。ただ、軍は国際的信用を失う実力行使でなく、司法を通じた「合法的」な政権転覆を狙うとの見方が浮上した。
ギラニ首相は19日に出廷する意向だが、メスード元高裁判事によれば、有罪なら即時失職。身柄を拘束される可能性もある。経済低迷などでザルダリ政権への国民の支持離れが進む中、大統領には大きな痛手となりそうだ。