【ワシントン=犬塚陽介】共和党のニューハンプシャー州予備選で、抜群の知名度と豊富な資金力、組織力をフル回転させたロムニー流の選挙戦術。アイオワ、ニューハンプシャー両州が指名争いの序盤戦として定着した1976年以降、再選出馬した現職大統領を除き、共和党候補が両州で連勝した例はなく、一気に決着をつけそうな展開だ。
「多額の資金があり、各州の選挙態勢が組織化されているのはロムニー陣営だけ」。ニューハンプシャー大学のアンドリュー・スミス准教授は、準備不足の他陣営は正面からの選挙戦を挑めず、ロムニー氏の独走を許したと解説した。
ロムニー陣営は2008年の大統領選で構築した選挙組織をアイオワ、ニューハンプシャーの両州で積極的に再活用した。ボランティアが戸別訪問や電話で投票を働きかけ、当日には投票所までの車の乗り合いを呼びかけるなど最後まで支持者の背中を押し続けた。
また、他候補が反ロムニー票を狙って「足の引っ張り合い」を演じる中、あくまでも「オバマ大統領に勝てる候補」を強調。地元の共和党長老の支持を得たことも、有権者の関心を引きつけた。突出した組織力には民主党の選挙戦略の専門家、アニル・マメン氏も「驚くべきものだった」と舌を巻いたほどだ。
共和党では1980年以降8回の大統領選のうち、ニューハンプシャー州で勝利し、そのまま党指名を勝ち取った例は80年のレーガン元大統領など実に6回。アイオワを含めれば、どちらかを制した候補が必ず指名を得ている。
AP通信は「まだロムニー氏は敗れる可能性はあるが、それには反ロムニー票がひとつにまとまらねばならない」と指摘。今後も候補の乱立状態が続けば、ロムニー氏独走が早期に固まる公算が大きい。