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バイカルアザラシのnicoチャンネル

 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 

 

 

 

 

 

 この4コマ漫画ですが、番町皿屋敷のあらすじが分からないと、面白くも何ともないので岡本綺堂さんの「番町皿屋敷」を紹介しておきます。青空文庫で読むことができます。青空文庫は、著作権が切れた古典文学をボランティアの人たちが入力したデジタル図書館です。

 

ヒロイン お菊

皿は9枚、1枚足りません。

お菊が殺されます。

お菊の怨念が井戸から聞こえます。「一枚、二枚・・・九枚、一枚足りない・・・」

 

 皿が十一枚で、一枚余ったら怪談になりません。しかも、井戸ではなく煙突から登場したら・・・。今から半世紀前は誰でも知っていた怪談ですが、説明しないと面白さが伝わらないなんて・・・。ますますお寒い話となってしまいました!!!

 

 江戸時代後期になると、文化文政の時代なのですが、庶民まで読み物が普及してきます。そして、菜種油などを主とした行灯で読書をするようになると、夜の怖さがクローズアップされてきます。日の出とともに起き、日没とともに寝る生活では怪談は流行りません。そこで、鶴屋南北などの四谷怪談が上映されるようになります。また、浮世絵で幽霊や化け物が描かれるようになるとますます夜は冥界の世界が広がります。

 

 昭和の前期、戦後間もなくのことですが、夜になると狐に化かされたなど、怖い話を聞かされました。今は、怪談や怪奇物と言えば、アニメやゲームになっています。時代とともに自然を越えた世界はさらに多様化して変化していくのでしょう。

 1945年8月9日午前11時2分テで止まった時計。ここの空間だけ時間が80年前から静止したままです。長崎ではこの時刻を原爆炸裂時刻と呼んでいます。

 

 こんなことがあってはいけません。

 

 浦上天主堂の聖ヨハネ。彼はキリストの十二使徒の一人で、愛の人でした。二千年前に生きた使徒は4000℃の熱線を浴び被爆しました。十二使徒聖ヨハネも被爆者の一人なのです。

 

 こんなことがあってはいけません。

 

 ビール瓶なのでしょうか、灼熱の世界がすべてを溶かしてしまいました。ファットマンが地上400mで炸裂したとき中心温度は1,000,000℃。この熱泉が人を蒸発させ影を残しました。夏の空に向かって葉っぱを広げていた植物も塀の板に永久に刻まれました。

 

 こんなことがあってはいけません。

 

 あと一時間したら食べるはずだった女学生の弁当は、黒焦げの炭素となり、戦争の惨禍と平和の尊さを伝える展示品となりました。

 

 こんなことがあってはいかんのです。

 

 アメリカ人従軍記者が撮った一枚の写真。兄弟が映し出されています。前からは明るい光が照らしています。兄はよく眠った弟をおんぶして真剣な面持ち。彼の口からはあまりにも強く歯を食いしばったために唇に血がにじんでいます。首がうなだれてるのは弟が死んでいるからなのです。

 

 ここは被爆して亡くなった人を荼毘に付す焼き場。真相が分かってくると原爆の恐ろしさが80年前の今日、長崎で起こっていたことが蘇ります。彼は弟を荼毘に付すと回れ右をして帰って行きました。彼はどこに行ったのしょう。

 

 こんなことがあってはあかん! あかんのです!

 

 2025年8月9日。世界終末時計がホモサピエンスの頭の上に掛かっています。世界終末を午前零時にしています。今日の時刻は1分29秒前です。米ソ冷戦の雪解けが兆されたデタントの時代には17分前まで伸びたことがありました。しかし、今日はもう時間がありません。

 

 新しい世紀、21世紀。国々はこの日に学ぶことをしていません。この日を知れば、変化が起こるはず。長崎に深く学ばなければ・・・

 

 地球上で大繁殖した動物が3つあります。三葉虫、彼らは一億年に一回地球が引き起こす大噴火で絶滅しました。ペルムブルームは95%の生物を死滅させました。二回目は恐竜、巨大隕石が地球に落ちました。2回とも彼らの意思で絶滅を避けることは来ませんでした。三回目はホモサピエンス。自分たちの選択で核戦争を起こし、自ら滅びました。こんな愚かな選択をする知恵者がいますか。広島に、長崎に深く学ばなければ、そうなります。

 

  知恵ある人ホモサピエンス。あなたは知恵があるからホモサピエンスと呼ばれているのです。知恵を人類の進歩に使うのですか、それとも絶滅に使うのですか。心に刻んでください。11:02

 奈良県の秘湯に洞川温泉があります。そこに川魚を焼く魚屋さんがあります。ここのご主人、ひたすら鮎やアマゴなどの川魚の塩焼きをしては、お客さんに出していました。

 

 数十年前は、鮎・イワナ・あまごを500円で出していました。今は鮎が550円、イワナとあまごは600円になりました。私たちは二尾注文しました。ところが、海の魚の煮付けや内臓の焼き物、塩辛など小さな皿にてんこ盛りの小物が5種類程度出てきます。「これ注文してないんですけど。」ご主人、「これはサービス」飲み屋で注文したら一皿500円はするような小物です。

 

 今日訪れたときは、十数人の行列ができており、てんわやんわの大忙しです。このお店には注目していました。やはりご主人の魚に対する心意気やおもてなしの気持ちは、今も一つも変わっていません。どんなに忙しくてもひたすら魚を焼いています。動きに無駄がありません。お魚の在庫はすぐに尽きてしまい、問屋から新しい食材を満載した車が到着。そして、おじさんはまた黙々と魚を焼きます。今は、忙しさのあまり、以前のようなサービスはできなくなりました。それでも、以前のようなおもてなしをしたいのでしょう。どれだけ繁盛しても、当時のおもてなしの精神はおじさんの背中に見てとれました。

 

 待ちに待った子持ち鮎。体の三分の一が卵です。ふわふわです。焼き加減といい、骨までの柔らかさといい絶品。昨日の坂本小屋の静けさとは対象に、時間はめまぐるしく動き回ります。

 

 お婆さんの鯖寿司。六個で850円です。ふわっと握ったご飯に鯖が載っているシンプルな物。無限に食べそうなので、。二人で六個と決めて食べました。

 

 洞川温泉の街並み。数十年前と変わりません。日も暮れて提灯に灯が点ると、昼とは全く別世界になります。十数年前の平日、閑散としていましたが、今は観光客の多いこと。静かな風景を撮るのが一工夫でした。

 

 洞川と言えば、やはり竜泉寺に向かわなければ。開祖役行者様が池の中央に鎮座。龍から水がしたたっています。かって冬に訪れたとき、龍の口が凍っていました。その中を水垢離をする行者さん達。人々を救うために修行をされているのでした。

 

 本堂には弥勒菩薩が本尊として祭られています。この弥勒さん、シルクロードを通ってここまでお出ましになられた出で立ちをしています。微笑んでいらっゃるのは、アルカイックスマイル。砂漠を越え草原を越え、海を渡り、紀伊半島の大峰の山の中まで。人々の救済のため。

 

 昨日から今日まで食べすぎたので陀羅尼助を買いました。前鬼と後鬼が薬を守っています。もともと行者さんは修行を通して験力を得て、人々を癒すことでした。そして、大峰では陀羅尼助が、御嶽では百草丸など、和漢薬が作られました。

 

 昨日からのフードハントの仕上げは、洞川温泉です。令和6年に新装リニューアルされて、綺麗な温泉棟に生まれ変わりました。泉質は変わらずまろやかないいお湯です。ここは熊野から来ても、吉野から来ても中間地点でまさに秘湯です。

 

 湯上がりにごろごろ水を飲みました。近くには鍾乳洞があり、ここから湧き出る日本の水百選です。まろやかなことこのうえなし。

 

 追記

 

 このお魚屋さんは亀清と言います。その対面したお店が名水豆腐。ゴロゴロ水で作った豆腐。口に含むと溶けます。豆腐なのか水なのか。水自体が超軟水なので水なのか豆腐なのか限界がありません。お味は豆腐そのままでいけます。あえて言うなら溜まりを垂らす程度。大豆のうま味の固まりです。

 

 もともと洞川は前鬼に対して後鬼。洞川の集落からは山上ヶ岳が見えており、修験道の行者さんたちを受け入れてきました。山上には蔵王堂があります。役行者が乱れた世を救うために金剛蔵王大権現を祈りだした聖地です。

 

 洞川には橋が架かっています。その下にはニジマスの大群が泳いでいます。中には50cmもあるような大物も。だれもそれを漁る人はいません。そんな人々の優しさが、この自然を守り孤高のお料理を産み出しているのでしょう。

 

 修験の聖地はグルメの聖地でもありました。

 

 

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 映画ウッドジョブで有名な神去なあなあ村にある坂本小屋にあまご料理を食べに行きました。離れはエアコンがありません。深い森の中なので木々の葉っぱの蒸散作用で涼しげ。

 

 窓からはシャクナゲが見えます。花の時期に来たら真緑の中に薄紅の花が見られることでしょう。まだアジサイが咲いているので、気温の違いが分かります。その分湿気はかなりのもの。それでも湿っぽさと言うよりも、涼しさが勝ります。

 

 あまごのコース料理をお願いしました。5500円、ミシュランに登録されたお店のコースってどんなのメニューなのか。最初に出たのは、煮物です。ワラビや椎茸の山菜の香りが部屋に漂います。地物なので、香りが強い。

 

 稚魚の酢の物。なぜこんな贅沢ができるのでしょう。敷地内にはアマゴの卵から育てる養殖場があります。だからなせる技。

 

 アマゴ料理ではやはり甘露煮。頭から全部食べられます。味は濃いのでこれでご飯一杯はいただけそう。

 

 

 稚魚の唐揚げです。夏だからできるメニューなのでしょう。柔らかくて全部食べられます。

 

 これは成魚の唐揚げ。稚魚のお味と比べると味は濃いかも。

 

 まさかあまごのお寿司が出るとは。サーモントラウトのような風味です。遺伝的にはサーモンなのでただ川を住み処とするか、海を住み処とするかの違いだけ。美味しい。

 

 やはりメインは塩焼きです。炭火が強いのですが、熱さを感じません。本当に夏なのかと思います。それでも今日の気温は30℃は超えています。ついさきほどまで泳いでいたので、内臓をとってもピクピクと動きます。

 これはあまごを朴葉でお味噌で味付けして蒸し焼きにした物です。お塩やお醤油、そしてお味噌。調味料によって全く食感もお味も変化します。あまごでこんなにも多彩な食べ方ができるでしょうか。お味噌で蒸すという調理法はさらに不思議な世界でした。

 

 最後は吸い物とあまごご飯です。お漬物も自家製。

 

 坂本小屋ですが、秘境にあります。地図で示しても地元の人しか行き着かないでしょう。ここのアマゴ料理は孤高のお味です。他のお店を追随させません。お料理はシンプル。なのに美味しい。それはアマゴ本来のお味を邪魔しないからです。あまごはもともと美味しいのでしょう。ただ、それを最大限引き出しているだけ。

 

 ミシュランは、お料理だけでなくそのお店の丁度や料理人まで評価します。そして、一度登録されると多くの人が殺到します。しかし、ここはいたって静か。塩焼きは一部別注しましたが、このコース料理で5500円です。何とも心豊かな気持ちになれる空間です。

 

 今日は平日なのか私たち一組で貸切状態でした。心の豊かさはこんな所にあるのでしょう。それにしても卵からここまで育てるにはどんな手間が掛かっているのでしょう。帰りに生け簀を見ました。あまごが元気に泳いでいます。冬にはお鍋が美味しいらしい。冬に着たら雪に閉ざされているかもしれません。そんな寒々として離れで炭火の上のぐつぐつ煮えたお鍋を想像していました。

 

 神去なあなあ村の時間は、下界とは流れの速さが違っているように思われました。坦々と流れる時間、流れると言うよりも止まっているようにも思えました。ここに来ると何が豊かさなのか、少し分かった気がします。

 

 映画ウッドジョブではお婆さんがたばこを吸って麻雀をしています。マムシを足で捕まえて、皮をむいて食べます。今でもマムシは強壮剤として使われているようです。

 

 紀伊半島の中部、雲出川の源流坂本川。緑の秘境には素晴らしい自然が残っています。その中で清流を泳ぐあまご。素晴らしい食材です。あまごは閉ざされた清流で生きることを選びました。サーモンは海で回遊して生きることを選びました。そして、私たちは多彩な食材を手に入れて楽しんでいます。

 

 松阪駅から名松線に乗って、終点興津駅から車で一時間ほど。もう民家はなさそうという所にあります。それでもあなたはここまで来て、アマゴのお料理を食べに来たいと思いますか。答えは、それでもここに来たいです。そう思わせるのはミシュランの証。

 

 注記 大きい方の塩焼き、大きい方の唐揚げ、朴葉味噌蒸しは5500円のコース料理とは別注です。

 

 

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