斎王が愛した祓川 その小径には菜の花が芽吹きました。 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 サザンカの花が咲いています。残念ながら花びらの美しさは少しあせて花のリレーは次の時節の花へと移り変わりつつあるのでしょう。

 

 凍った枯れ野に芽吹き始めたのは菜の花です。綺麗に圃場整備された田圃の畦道には誰が植えたのか、菜の花畑があります。

 

 菜の花は群落を作ってその下には薄青の花びらを開いたイヌフグリも仲間に入りました。いよいよ春です。

 

 畦道のそばを流れる祓川。平安時代、天皇陛下のご名代となった斎王(いつきのみや)がここで潔斎しました。天皇の未婚の皇女である斎王は、天皇の代わりに伊勢神宮に仕えます。清流は古代の流れとともに今日も静かに流れています。桜の木の陰が祓川に映って趣があります。

 

  ここから見えるのは堀坂山です。もっと左に局ヶ岳、中央に白猪山、そして堀坂山と端正なピラミッドがお伊勢さんから見えます。伊勢三山です。鎌倉時代の歌人藤原定家は、祓川の橋を渡ってこんな一首を詠いました。

 

 のちに又 たれか来て見む 竹河や むすぶしずくも 紅葉散る山

 

 藤原定家は高倉天皇の皇女潔子内親王が斎王であったとき、ここで詠んだ歌だと言われています。

 

 青空を颯爽と飛ぶ白鷺、祓川には様々な山鳥が住んでいます。川には小魚が泳ぎ、餌には事欠きません。平安の雅の斎王様もここに来ては禊ぎをし、和歌を詠み、伊勢神宮の神様にお仕えなさったのでしょう。今は、菜の花の黄色さだけが当時の華やかさを留めています。