日本の棚田百選の「深野の棚田」を空撮すると | バイカルアザラシのnicoチャンネル

バイカルアザラシのnicoチャンネル

 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 

 

  今日は昨日のみぞれ模様の空と違って快晴となりました。風も強くないので深野の棚田に空撮に来ました。白猪山の中腹にあるこの上郷地区にあります。松阪牛の産地で、今年の共進会では特選一席が3032万円の値がつきました。家畜一頭に三千万円とはどういうことでしょう。


 但馬牛のメスを二年ほど肥育します。血行が良くなるように焼酎を毛に吹きかけてマッサージをします。食欲を増進させるためにビールを飲ませます。昼は棚田のあぜ道を散歩。体調が悪いと飼い主が牛小屋に一緒に寝ます。手塩にかけられた黒毛和牛は孤高の品質になります。

 

 江戸時代初期、宝永三年白猪山は大崩落をしました。伊勢湾から西方を見ると端正な三角形の山が三つ見えます。伊勢三山です。その中央に位置する白猪山は標高820m。夏に一ヶ月豪雨が襲います。集落は海になったと記録があります。そのとき、山頂から花崗岩が崩落しました。人々は崩落した花崗岩で石垣を築き、今の棚田を造りしました。収穫は崩落前の1.5倍になりました。重機もなく人々はふいごで土を運びました。


 日本人から勤勉という言葉が消えましたが、今でもこの地域ではその言葉が息づいています。日本の七打百選に指定されている深野の棚田は石の芸術の呼ばれるようになりました。

 

 ドローンは麓の長野地区から夏明け地区に飛びます。虫明けや夏明けとは、肥料を入れなくても豊かに実る地名につけられます。石垣にはベゴニアの赤い花をつけ、その下には雲海が広がることがあります。対岸の山々の上にある棚田はまさしく雲上の棚田です。

 

 棚田を流れる川は櫛田川の支流となって本流に注ぎます。これほど立派な花崗岩の石垣はなかなかお目にかかれません。棚田の寒暖差は大きいため米のお味は美味しくなります。また、白猪山の降る雨を田圃に引いているため水質は綺麗です。しかも、今でも収穫した稲の束をハザがけをして天日で乾かす農家もあり、刈り取った稲の茎からさらに栄養をとるので美味しくなります。

 

 三重は古代から「美し国 うましくに」と呼ばれていたように松阪牛と深蒸し茶と棚田のお米は山の幸です。伊勢湾の海の幸と言えば、伊勢エビを筆頭にあわび、さざえは海の幸でしょう。お魚で言うと、鯛やさわらは有名です。