晴れた日の朝の棚田はこんな感じです。右端には白猪山に連なる峰々が見えています。その麓には日本の棚田百選に選ばれた「深野の棚田」があります。
今朝は雨が上がったばかりなので、朝霧が香肌の渓谷にたまっています。秋になるとこれは雲海になります。深野の棚田の最上部にある夏明からは棚田から雲海が見えます。今日は朝靄でこの通りの風景。今は、夜は蛍が飛び交います。ブログでも紹介しました。
雨が上がったばかりなので成長した苗には雨粒が宿っています。渓谷なのですが白猪山の麓は結構なだらかな丘陵になっていることが分かります。ここでとれるお米は雨水がそのまま水路に流れるのと、雨が降らないと広葉樹林の森が水を放出します。ミネラルを含んだ水と朝夕の寒暖の差が大きいので、お米は美味しくなります。しかも、今でもはざがけをする農家もあり、天日で干したお米はうまみが凝縮され、乾燥機で水分量を調節したお米よりも甘くなります。市場には出回らないので幻のお米です。
オタマジャクシが泳いでいます。棚田には小さな無数のアマガエルがここかしこにいます。もう好きなように泳ぎ回り、雨が近くなると胸を膨らまして鳴きます。しつかり昆虫を食べてくれ、うんこもいっぱいします。化学肥料をたくさん入れなくても天然の有機肥料となります。
全国には夏明や虫明という地名がありますが、この地名は肥料を入れなくても豊かに実る田畑のことを指します。夏明けはまさしくそのとおりの棚田です。ここから雲海を見たことがあります。対岸の峰々よりも高いところにあり、石垣にはベゴニアが咲いた姿は天上の棚田です。雲海は朝日とともに立ち上がり、太陽の黒点が見えることがあります。そして、いつのまにか何もなかったかのように消えていきます。
ここは観光化されていない棚田なのでのんびりと時間を過ごせます。地元の人が棚田を耕している現役の棚田。いつまでも残っていって欲しい原風景です。