春の野原に出てみたら | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 三月になると日が長くなるものです。それでも昨日は伊勢三山の白猪山には雪が積もっていました。東の空にはお月様が出ています。

 

 昨日は朝はこんな感じです。三月の下旬に雪が降るとは。名残雪になるのか、それとももっと降るのでしょうか。朝日が出るとモルゲンロートの朝焼けとなりました。 

 

 フキノトウが出て、ネコヤナギも出て、花といえば梅は終わり日陰にはショウジョウバカマがひっそりと咲いていました。暖冬なのに三月になれば冬に元通り。それでも春の野草は正直なものでこんなに美しく咲いています。
 
 平安末から鎌倉初期の歌人藤原定家は三月下旬に名残雪をこのように読んでいます。
 

 心にも あらぬわかれの 名残かは 消えてもをしき 春の雪かな

 

 心にもない別れの名残であろうか。消えてしまうのが心惜しいと春の雪。定家が生きた時代は日本の気候は温暖で豊かに食物が実りました。地球も温暖で大阪湾は京都の南まで海岸線が接してしました。温暖な気候だとかえって雪の量は多くなる傾向にあります。やがて鎌倉時代になると太陽活動は低調になりマウンダーミニマムという小氷河期が到来し、飢饉が起こります。定家はある意味、いい時期に生を得たのでしょう。しかし、彼は温暖な気候が災いしてマラリアにかかってしまいます。定家が白猪山の冠雪を見たらどんな一句を詠むのでしょう。