水郷の街 針江生水の里を訪ねてⅡ さまよえる湖 古琵琶湖と今 | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 以前、琵琶湖は赤潮が発生して汚れた湖の代名詞でした。それが今は水質も浄化されて綺麗そのものです。琵琶湖はさまよえる湖と言うことができます。400万年前に三重県伊賀市付近で形作られた琵琶湖は、次第に北西の方向に移動し、少なくとも180万年前には今の位置にあったと考えられます。今の形になったのは100万年前のことです。

 

 今回訪れたのは針江生水の里なのですが、国土地理院地図で見ると琵琶湖西岸に少し東に突き出た半島のような地形があります。ここは古琵琶湖に流れる扇状地だったことが分かります。

 

 古琵琶湖は地形図の甲賀丘陵のさらに南東方向にありました。やがて琵琶湖はこの丘陵を通って北西に移動しています。比良山地に降った雨は、水無川となって高島市にある扇状地の先端の砂地で伏流水として沸きだし、安曇川を作りました。安曇川はさらにまだ湖になっていない甲賀丘陵方向に向けて流れていたと考えられます。高島市がちょうど扇状に西岸が突き出ているのは扇状地だった所の堆積物です。

 

 2月に訪れると針江生水の里はこんな感じです。琵琶湖も北陸福井県に近く、北風は容赦なく吹き付けます。それでも伏流水の水温は年中変わらないためにこんなに花を咲かせています。春の花カーラーが年中咲いているのには驚きました。あのバイカモがちらほら咲いていて、これに会いたかったって思っていたのが実現して嬉しかったです。川端にはさりげなく厳冬期のお花畑がここかしこにあります。

 

 川端をのぞき込むと底の砂がもこもと動いています。こんこんと湧く伏流水。一瞬、風が凪いでガイドさんを映し出しました。雨粒が水面に落ちると一気にこの景色は波紋に変わってしまいます。それが面白くて、いつまでも撮影していました。

 

 さて、針江生水の里を知ったのは今森光彦さんの写真集です。このおじいちゃんですが、104歳までいらっしゃったようです。すでにこの風景も30年前の物で、一部失われた風景もあると聞きました。

 

 美しい風景は努力しなければ失われてしまうことを思いました。下水道の整備はその一つです。一滴も汚水を川端に流さない。篤い志がなければなしえないことです。針江に住む方々はそうすることが自然なのでしょう。比良山地に降った雨が地下水路を通って濾過された伏流水は針江に湧き出ています。それを大いに楽しみ生活を豊かにする。自然は私たちの生活にどれほど恵みをもたらしていることでしょう。

 

 

 昨日、YouTubeにアップしたのはナレーション入りですが、ナレーションなしのバージョンをアップしました。下手なナレーションがあるよりも針江生水の里の音を感じていただければと思います。