災害時の水を考えてみた 断水に対応するには? | バイカルアザラシのnicoチャンネル

バイカルアザラシのnicoチャンネル

 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 水は蛇口をひねれば出ます。上水道は上の図のように浄水場から飲める水にされて、配水管で送られています。配水管は数十キロの長さがあります。これが地震などで壊れれば即座に私たちは水を絶たれます。自分が住んでいる地域の配水管の耐震化率は26%程度で、全国的には低い数値です。

 

 能登半島で起こった地震で多くの水道施設が壊れて、一ヶ月経っても断水している所が少なくありません。電気や電話は比較的早く復旧するのですが、水道は最後になってしまいます。

 

 断水している地域の方々は、様々な形で対応に当たっていらっしゃるようです。最近の報道では自前で山からの水を引いてしのいでいる例もあります。上の図は井戸水の構造ですが、地震では井戸自体も壊れることはあるでしょうが、井戸が使えれば水道の代わりになります。井戸は配水管が短いために上水道に比べてはるかに復旧は簡単です。

 

 水道が普及したため井戸は埋め立てられる例が多くあります。地元でも新築された所では立派な井戸が埋め立てられました。断水時にはこの井戸を有効活用できないか、考えてみました。災害時に断水するよりも停電することの方がはるかに多いことだと思います。停電すれば、電動ポンプも止まります。電動ポンプは家庭用では500W程度ですが、始動時にはこれの4倍ほどの電力が必要になります。最近は、リチウム電池のポータブル電源も家庭に普及して来つつありますが、2000W以上の物はなかなか高価です。リチウム電池はこのような始動時に数倍の電力を使うようには設計されていません。電動ポンプを動かすにはやはり発電器が必要です。アウトドアをするご家庭ならあるかも知れませんが、2000W以上の発電器があるお家は少ないでしょう。

 

 そこで考えたのが電動ドリルを使うポンプが2000円程度でDIYで売っています。これは構造を分かりやすくするために組んだ物です。吸水側にはゴミフィルターをつけます。そこにドリルポンプをつないで、吐水側ホースには延長コネクターをつけておきます。画像のドリルはブラシレスモーターのハンマードリルです。容量が小さいドリルは長時間回すと焼損するので大容量のドリルが必要になります。これで一分間10リッターの水を給水できます。

 

 お洗濯なら50リッター、水洗トイレ一回なら10リッター分の水が必要です。お風呂でしたら200リッター程度でしょうか。もっともこの手のドリルでも、10分もすれば休ませないと壊れる可能性もあります。

 

 実際にホースを井戸に突っ込んで本当に動くか実験してみました。この井戸は2m程度なので3mの延長ホースをかましています。

 

 ドリルを回すと少ししてこんな水が出てきました。吸水側ホースを深く入れたので泥で濁っていたのでホースを引き上げると透明になりました。これだけ出れば充分実用になります。ポンプ、ホース、ジョイントを含めても3000円程度です。ドリルはもともと日曜大工に使っている物を流用しました。このドリルで6000円程度の物で、サードパーティー製のバッテリーなら4000円程度で出回っています。

 

 もちろんこれは一時しのぎの物で、長い断水が続けば発電器は必要でしょう。またバッテリーを充電する電気をどこから調達するかも問題です。自分の家ではポータブル電源にソーラーパネルを繋いで充電するつもりです。さらにそこからバッテリーに充電します。

 

 また、井戸水が飲料に適するとは限りません。澄んだ水でも胃がんを引き起こすピロリ菌で汚染されている場合もあります。飲用には煮沸が必要になります。飲用には日頃から天然水を備蓄しておくとか、給水車で水をくみにいくなども必要になるかも知れません。それでも、この程度のやり方でお洗濯や水洗トイレの対応はかなり助かります。

 

 水道があれば日頃は無用の井戸ですが、井戸は地域の一つの資源なのではないでしょうか。また、家庭菜園やちょっとした農業用の灌水には上水道ではなく、井戸水を使うのもSDGSの観点から考えてもいいと思います。花や野菜達も塩素で滅菌された水よりも、自然の水をもらった方が喜ぶことでしょう。浄水場を見学すると飲用にするまでどれだけの電力と労力が使われているかびっくりします。

 

 このブログでは、災害時の食料やトイレの処置、睡眠についても考えてみました。1月初旬に集中してアップしていますのでよかったらご覧ください。

 

1月4日 災害に備える 

1月5日 災害に備えるとはどんなこと? 東日本大震災 釜石の奇跡から

1月6日 もしもの時に備える 何をどれだけ?

1月8日 冬の車中泊や体育館での睡眠を考える 今からできそうな工夫と快眠グッズ