櫛田川河畔の藤の花。今が見事です。10m程の高さがあります。
とにかく花が豊か。誰が植えたのでもない。櫛田川の河畔は原生林で、その大樹に宿っている藤の花です。
何だこれは? って思うくらい豪華絢爛。2月は梅で、3月は桜、今は藤の花です。それぞれの見頃は、それぞれの月にあるものですね。藤の花を詠んだ芭蕉の一句を紹介しましょう。
草臥れて 宿借るころや 藤の花
長旅に歩き疲れて、そろそろ宿を借りる時刻になってきた。藤の花が見事に咲いている。
この俳句は芭蕉が江戸から、尾張→伊賀→伊勢→大和→紀伊を回り、須磨や明石を旅した「笈の小文」という紀行文に出てきます。この一句は大和八木で詠んだもの。一日中歩き疲れて日も傾き宿を借る時刻になった。光は真上よりも角度が小さくなると一層花の美しさが引き立ちます。その美しさに旅情、旅愁を感じたのでしょう。