風の中のカンパニュラさえ・・・ | バイカルアザラシのnicoチャンネル

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 サイコロジストの日常と非日常を季節の移ろいを交えて描いています。バイカルアザラシのnicoちゃんの独り言です。聞き流してください。

 アルペンブルーのカンパニュラが咲いた。神の園にある黄金の林檎を守るカンパニュラという女の子がいた。半分食べればどんな病気も治り、一個丸ごと食べると不老不死になるらしい。だから誰もがこの林檎をねらっている。ある日、泥棒がやって来てカンパニュラを殺した。花の女神フローラは彼女を哀れんで花にした。それがカンパニュラという花。花は小さくて目立たない。でも、マクロで撮ってみるとこんなに美しい。風が強くてうまく焦点が合わない。フローラが彼女を花にしたときもこんなに風が吹いていたのだろうか。風が強い日にはカンパニュラがよく目立つ。なぜなのだろうか。平原綾香さんがショパンの旋律に歌詞をつけて歌っている。

 

Love,  true love is to ask nothing in return

You are my destined soul mate

Your love, adoring eyes

We can see the light because we know the darkness

Everything has meaning, even canpanula in the wind

 

Each of one has pain and sorrow

Sheds a secret tear

But drops of tears will fall to the earth and

Welcome  new life into the world again and again with love

 

Love,  true love is to ask nothing in return

Fated love that is meant to last

My love your gentle gaze

A drop of your soul within me that I adore

Everthing has end, but we'll be reunited

 

真実の愛は、見返りを求めません。

あなたは私の運命の人。あなたの愛、その深い眼差し

人は闇を知っているから、光が分かる
すべてのことには意味がある

風に吹かれるカンパニュラの花さえ

 

人は誰もが苦しみや悲しみを抱き 秘められた涙を流します

しかし、大地に落ちたその涙は 愛とともに 新しい命をこの世界に何度も帰させる

真実の愛は見返りを求めません
運命の愛は永遠に続くのです
私の愛 あなたの慈しみに満ちた眼差し
私の中に住んでいるあなたの魂のかけらを深く愛そう
すべてに終わりがあるけれど私たちはまた巡り逢える

 

 こうして日本語にしてみると何てことはない歌詞になってしまいます。それは日本語には必ず子音の次に母音がつくため冗長になってしまうから。それに対して英語は破裂音や破擦音が歌詞に独特のリズムをつけています。destinedやfateには繋がれたという意味合いがあり歌詞に深みを与えています。多くの意味合いを持つ言葉なので、聞く人は様々な想像を巡らします。そして、最後の言葉のreunitedは再び繋がれる。結ばれなければ二人の愛は完結できないのでしょう。

 

 歌詞からは、大切な人を亡くしたことがうかがえます。亡くなった人は死期を知っていたのでしょう。でも、相手に対する思いやりからそれを伝えていなかった。見返りを求めない愛とはそのようなものなのかも。そして、否応なしに死は残された人に突然のように訪れました。一瞬たりとも愛する人を悲しませたくない。それが彼の優しさだったのでしょう。その優しさの中で、自分は何も気づいてなかった。自分の心の鈍さを悔やんでいるのかも。それでも彼の優しい眼差しと幸せな時間の記憶が、悲嘆、怒り、絶望の淵から引き上げてくれます。そして、亡くなった彼の魂は、彼女の心の中に住みました。内住の魂です。誰にも見せずに流した限りない涙は、青銅の空と鉄の大地に命をよみがえらせ、やがて緑に変えていきます。そこで生まれたのは希です。再び巡り会える。もう何者も二人を引き裂くことはありません。これが彼女の新しい希望です。闇が深ければ、光はより眩しく輝きます。痛みや悲しみを通り抜けたからこそ、それは喜びとなります。

 

 引き裂かれた魂は遙かなる時空を越えて一つとなり、永遠の命を得ます。もともと一つだったのですから、もとにもどっただけです。魂は心に繋がり、心は体に繋がっています。風になびくカンパニュラにさえ、意味がある。それは、命を落として不老不死の果実を守り抜いたカンパニュラが化身になった花だからなのでしょう。林檎の木は世界中に広がり、赤や黄色や青の果実が園いっぱいに甘酸っぱい香を漂わせます。

 

 ちなみにこのカンパニュラ、風鈴草と言って風鈴のような形の花を指しますが、バラのような形の物もあります。カンパニュラと言えば、アルペンブルーの物を思い起こしますが、薄紅の赤系統の花もあるようで、様々です。春風になびくカンパニュラの群落、これを見たら、なぜかこの歌詞を思い出しました。