ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ 古今和歌集 紀友則
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心はのどけからまし 古今和歌集 在原業平
あをによし 寧楽の京師は 咲く花の にほふがごとく 今さかりなり 小野老 万葉集
奈良や平安時代は冬の暖房もなく、今よりも遙かに春の到来を待ちわびたことでしょう。今満開の桜を愛でるのですが、それよりも散っていく桜に心が行ってしまいます。いつまでも桜の季節であって欲しい、散っていく桜を惜しむ心は深いものがあります。
梅が咲いて、桃が咲いて、桜桃が咲いて、桜が咲く。そのあとは五月やツツジや石南花が咲く。桜も春の花のリレーの一つに過ぎない。今ではそんな気がしてしまいます。でも、桜は桜でも、ヒカンザクラから始まり、ソメヨシノ、山桜まで様々な桜が咲きます。桜の名所吉野では、4月上旬の下千本から始まり、中千本・奥千本と桜前線が大峰山を上っていき、5月上旬には大峰の奥駈道で終わります。3月初旬から松阪市笠松町の河津桜から始まり、4月初旬の今日、ソメヨシノや山桜が満開近くになりました。4月中旬には吉野山で花供懺法会があります。今年は新型コロナウイルスのため行けそうにありませんが、吉野山の桜が散る頃、大峰山の山上ヶ岳では戸開式が行われ、修験道の修行が始まります。その頃、桜が咲いているのを見たことがあります。紀伊半島で一番遅い桜の開花なのでしよう。役行者は蔵王権現様が勇払岩からお出ましになったとき、その形を桜の木に刻みました。桜は蔵王権現様の神木なのです。
今日は日本の棚田百選の「深野の棚田」 の対岸にある山桜を空撮しました。寒かった冬、木枯らしが小枝を吹き抜けていた枯れ野は、新緑が芽吹き始め、山桜が所々に咲いています。白い花びらもあれば、赤色が濃いものもあり、山桜はなんと多彩な彩りをしているのでしょう。
今日の空撮を10分にまとめてみました。













