今日は、立春。立春とは春が始まる日です。天文現象としてはどんなになっているのでしょう?
地球を中心に太陽の動きを説明してみるとこんな感じになります。これだと立春・立夏・立秋・立冬はそれぞれ季節の始まりの日だとよく分かります。太陽の通り道を黄道と呼んでいますが、春分と秋分は昼と夜の時間が同じになります。また、夏至と冬至では昼の長さが一番長いか短いかがこの図からよく分かります。北半球と南半球ではこれが逆になります。
これをまとめてみるとこんな図にすると頭もすっきり整理できます。
さらにこれに二十四節季を加えてみると黄道を360度に分けてみると
春分 0度 立夏 45度 夏至 90度 立秋 135度
秋分 180度 立冬 225度 冬至 270度 立春 315度
地球は太陽に対して23.4度傾いているので温帯ではこのように四季が起きます。
季節が24もあるのは、それだけ人々の暮らしが自然とりわけ気温の寒暖と結びつきが強かった証拠です。人々は二十四節季ごとに季節の到来を肌で感じ、温かさを待ち焦がれ、暑さをしのぎ、涼しさを楽しみ、寒さに耐えてきたのでしょう。
春分から雨水へ、この季節になると雪から雨に変わります。そして、啓蟄へ、季節は虫が地上から這い出る季節に変わります。さらに春分へと。昼と夜の長さは等しくなり、大地がまだ冬の寒さで冷えているのでそう簡単には温かくなりません。それでも日一日毎に温かさは増していきます。確かに今日の日差しはもう春ですね。
春立と いふより見ゆる 壁の穴
この俳句は江戸時代の俳人小林一茶が詠んだ一首です。今日は、春が始まる立春というが、見えるのは自分の家の壁の穴。温かいどころか、家壁の穴から冷たい風が吹いてくる。一見笑ってしまいそうな句ですが、粗末な庵には何もないのでしょう。立春と言っても2月と言えば厳冬期です。大陸生まれの寒気団が日本列島に居座っています。
この一茶、晩婚で娘を授かりますが天然痘で夭折。まもなく妻も死別。再婚しますがすぐに破綻。3度目の結婚生活は持病の中風で大変。亡くなる前には自分の家を焼失してしまいます。一茶の生涯と言えば、ついてないことばかり。立春という春の訪れを喜びたい気分ですが、ふと見えるのは壁の穴、その穴を一茶はどんな気持ちで見ていたのでしょう。この一句には春の喜びとともに壁の穴に笑うしかない彼の道のりがあったのでしょう。