今日は小春日和になりました。小春日和は晩秋から初冬に掛けての春のような陽気の日を言います。11月から12月前半に当たる時期です。冬なのに棚田の畦にはタンポポですが、あまり不自然にも思えなくなりました。
だってホトケノザも咲いているのですから。やがてオホーツク海に低気圧が急速に発達し、冬将軍が木枯らしを吹かせるのももう少しでしょう。小春日和の昼下がり、今だけこの日差しを楽しみましょう。
朝は霜が降りて土がまっ白になっていました。棚田は白猪山の南斜面にあり日当たりがいいです。土は凍っていても、昼下がりにもなれば土もぬくぬくです。タンポポもホトケノザもちょっと春を楽しみます。
そう言えば、中原中也の短歌を思い出しました。
小春日和の いじら暖かさに 土手の土も チクリチクリと いてとけるらし
何とも五七五七七から大きく外れた大胆な破調、というよりも散文のような短歌! もはや・・・。と言いたくなりますが、今日のような昼下がりにぴったりの一首です。小春日和のいじらしい暖かさに、土手の土もちくりちくりと凍っていたのが溶けているようだ。晴れた日の朝は、放射冷却で気温が低くなり土も凍ってしまいます。朝日があがればどんどん土が熱を帯びて温かくなります。凍てた状態から溶ける状態への変化をチクリチクリと中也は表現しました。
こう考えてくると、お日様はなんてありがたい存在なのでしょう。中也は何でもない季節の移り変わりを坦々と詠みました。私たちの身近などこにでもあるような所に何か美しいものがいっぱい転がっているような気がしました。棚田の畦に腰掛けて、ちよっとそれを探してみたいと思います。